骨の形

自分は今まで死体を見たことはなかった

正しくは人間の死体

その死体が長ったらしく綺麗にされて

棺桶に入れられ

葬儀屋の家に行き

燃やされる為の時間待ちをし

三日間保存され

くだらない挨拶のあと

顔まで覆う花を入れられ

誰が死んだかわからなくなった

焼き上がりは匂いもしない

すすり泣く声は一つもなく

骨の説明をされてもわからない

どこどこがいい、とか、丈夫、とか

どうでもいいので終わらせてほしかった

ごり、ごり、と骨が潰される音がする

むなしすぎる

小さすぎる箱に入れられた

白い陶器は、ひんやりと冷たく

かぶせられた布は臭い

唱えられる念仏もなくて

引き取られる場所もなく

誰もが忌避して

でも、酔っ払ったクソ長男が泣きながら引き取った

誰も彼もに呪詛を吐きながら

(墓代、もってるんだけどね)

こっそりと思いながら暴走する長男を見た

酔っ払いは泣き上戸で五月蠅く

子どものように「持って帰る」とねだった

関係ないことだけど

あの箱の中に入っている骨は、

どんな形をしていたっけ

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