一日一編集『四月ナキ』

朶骸なくす

第4話

例えば生きるのに疲れた人がいる

その人の一日は自宅で終わり

お布団から始まる

飲み込んだのは水で

食べるのは流動食

外に出るのも億劫で

外からの光りだけが生きていた


その人は寂しいと思ったことがない

ただ淡々と流れゆく日々を

ぼんやりとした不安に浸かっていた


その人が怒ることはない

もう怒り方も忘れてしまった

諦めだけが生き残っている


ここから動くことはない

疲れてしまったから

もし、これを読んでいるなら

「外に出ませんか」ではなく

「ちょっと買い物に行きませんか」と

言ってくれないか

そしたら少しは心が動くかも知れない

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