パイプオルガン

オルガニストは哲学者のように見える

両手を四段の鍵盤に這わせ、両足は忙しく宙を舞うのに、

楽器に向かうその姿は、演奏というより探求する学者のようにみえる

向かい合うものは、大きすぎる

自分の何倍もの体をもち、幾つもの音をだす

圧倒的な巨人

奏でるものがいなければ、美しい雄大な大いなる沈黙

まるで小さく見えてしまうオルガニストは、ひとたび音楽が動き出せば

縦横無尽無限無双

一人オーケストラ、一人合唱、一体多数の無限の対話

宇宙のなかで、銀河のなかで、圧倒的な音楽の渦

生み出しながら、流れのなかでも軽やかに力強く弾き続ける

(人類は、なんてよくばりな巨人を生み出したものだろう!)





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