転校生はちょっと普通とは違う気がする

らかん

第一話

遠くの方で争いのような声が聞こえる。

ここの場所、つまり私が住んでいる街はあまり治安が良くないと噂されている。

たしかに私もそう思っている。

いつもそうだ。夜になると、必ずと言っていいほど争いのような叫ぶような声が聞こえるんだ。

でも、私はこの街からは離れたくない。


私の名前は須藤沙希すとうさき

肩までの銀色の髪、ちょっと茶色がかった瞳の高校一年生。

趣味は......裁縫と読書かな。性格は、おっとりした性格って言われることが多い。

まあ私としては、自由気ままとかって思ってるけど。

「――ねぇ、なんか転校生が来るとかって噂があるんだけどほんと?」

「たしかにそんな噂を聞いたことあるよ」

私のクラスでは、転校生が来ることが話題になっているらしい。

だって、あきらかに新しい机が一つ追加されているんだもん。

しかも私の左隣で、窓側の一番後ろ。

今までは、外の景色眺めて過ごしてきたけど、今日から眺められなくなるのかなとちょっと残念な気持ち。

まあでも、友達が一人増えるならそれはそれでいいんだけどね。

新しい人が入ってくるのって、なんかちょっと緊張するかも。

ちゃんと話せるのかなとか、ほんとに友達になってくれるのかなとかっていう不安。

今はそんな事よりも、自分の好きなことして時間が過ぎるのを待とうかな。

「ねぇ沙希ちゃん、沙希ちゃんの家の隣って空き家だったじゃん?」

前の席の美緒ちゃんが、振り向いて小さな声で、私に話をしてきた。

「うんそうだけど......」

「そこに転校生が引っ越してきたんだって」

「えっ?!それ聞いてないよ!」

たしかに私の家の隣は今までは空き家だった。

まさかそこに転校生が来るなんて!

友達になったら、遊びに行けるのかな?!

「ど、どんな子?男の子かな、それとも女の子?」

「うーん、そこまでは分からないなー」

ちょっと笑いながら言う美緒ちゃん。

「男の子だったら、かっこよかったらいいなぁ」

そう言ってるけど、私としては女の子だったらいいなと思った。

漫画や小説の世界では、こんな男の子が彼氏だったらなぁ、と考えたりしたことはあるけど。

現実の男の子っていうのは、掃除をさぼったり、優しくないとかっていう、私としてはちょっと困った存在。

「あ、そろそろ先生がくるね。転校生も一緒だと思うけど」

美緒ちゃんはそう言うと、前を向いて姿勢を正した。

転校生が男の子だとしても、ちゃんと友達になりたいと私は思っていた。

それに、友達になっておいた方が後々どこかに遊びに行ったりできるしね。

私はそんな期待に胸を膨らませ、先生が入ってくるのを待った。






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