安帝11 407年

1 月


通鑑

後燕こうえんが大赦をなし、建始けんしと改元した。

後秦こうしん姚興ようこう西秦せいしん乞伏乾帰きっぷくけんきを懐柔した。




2 月


晋書

劉裕りゅうゆう建康けんこうに参内した。殷仲文いんちゅうぶん殷叔文いんしゅくぶん殷道叔いんどうしゅく駱球らくきゅうらが誅殺された。大赦がなされ、併せて禁酒令が布告された。


三年春二月己酉朝。誅東陽太守殷仲文、南蠻校尉殷叔文、晉陵太守殷道叔、永嘉太守駱球。己丑,大赦,除酒禁。



通鑑

拓跋珪たくばつけい拓跋修たくばつしゅう河間かかん王に、拓跋処文たくばつしょぶん長樂ちょうらく王に、拓跋連たくばつれん廣平こうへい王に、拓跋黎たくばつれい京兆けいちょう王に任じた。

後燕の慕容熙ぼようき氏のためにまた宮殿を立ち上げた。諫めてくるものは殺した。なお苻氏は夏に凍った魚を食べたいとか、真冬に真夏の果物が食べたいなどとも放言している。




4 月


通鑑

苻氏が死亡。慕容熙は号泣し、臣下にも号泣を強要。泣かないものは殺した。だん皇太后から尊号を剥奪した。

仇池きゅうち楊盛ようせいは後秦軍とともに漢中かんちゅうを攻撃。その上でしんと通好を願い出てきた。




5 月


晋書

洪水があった。


夏五月,大水。



通鑑

後燕こうえん苻進ふしんが謀反をたくらむも露見、処刑された。

拓跋珪たくばつけいは北方の濡源じゅげんに出た。拓跋遵たくばつじゅんを処刑した。

姚興ようこう赫連勃勃かくれんぼつぼつにうっかり大兵力を握らせてしまった。やあ、これはうっかり。

拓跋珪は柴壁さいへきで抑留した後秦将を解放した。北魏と仲直りした後秦に赫連勃勃が切れて独立した。やあ、これはうっかり。

賀狄干がてきかんが北魏に返還された。拓跋珪は、すっかり関中にかぶれている様子に怒り、殺した。

姚興が姚泓ようおうを錄尚書事とした。




6 月


晋書

後秦将の赫連勃勃が朔方さくほうで天子を自称、を建国した。


六月,姚興將赫連勃勃僭稱天王于朔方,國號夏。



建康

火星が翼宿で水星と重なった。




7 月


晋書

日蝕があった。司馬遵之しばじゅんしが罪に問われ、処刑された。


秋七月戊戌朔,日有蝕之。汝南王遵之有罪,伏誅。



通鑑

慕容熙が苻氏を徽平陵きへいりょうに葬ろうとしたところ、遺骸を運ぶ巨大な車が北門を壊した。慕容熙はざんばら頭、裸足で車のあとについていった。

馮跋ふうばつ高雲こううんを担ぎ、決起。慕容熙を破り、北燕の皇位を継承させた。

慕容懿ぼよういが北魏に投降した。

拓跋珪は濡源から西に出、參合陂さんごうはを回り、平城へいじょうに帰還した。

禿髮辱檀そくはつじょくだんが後秦に背き、乞伏熾磐きっぷくしばんとともに決起しようと誘った。乞伏熾磐はその使者を殺害。後秦に報告した。

慕容超ぼようちょうの母と妻は後秦にとどまったままであった。そこで韓范かんはんを遣わせ臣従を申し出た上、両名の返還を求めた。

毛修之もうしゅうししょく攻めが鮑陋ほうろうによって足止めされていた。それを毛修之が劉裕に訴えると、劉裕は劉敬宣りゅうけいせんを援軍として送った。

拓跋珪が豺山宮さいざんきゅうに出た。「庾岳ゆがくがちょづいてます」と密告があったため捕まえ、殺した。

高雲は北燕の統治体制を固めた。




8 月


晋書

劉敬宣を持節・監征蜀諸軍事とした。


八月,遣冠軍將軍劉敬宣持節監征蜀諸軍事。




9 月


建康

彭澤ほうたく令の陶潜とうせんが去職、故郷に帰った。『歸去來辞ききょらいのじ』には、その思いの丈が込められていた。



通鑑

譙縱しょうじゅうが後秦に臣属を願い出た。

禿髮辱檀が沮渠蒙遜そきょもうそんを大破した。

沮渠蒙遜は西郡せいぐん楊統ようとうを攻め落とした。




10 月


建康

禿髮傉檀が洛都らくとりょう王を自称した。



通鑑

後秦将の彭奚念ほうけいねんが南涼に寝返った。

南燕の慕容超は母や妻を馬耳關ばじかんにまで迎え出た。

赫連勃勃は守りを固めてチャンスを待て、と勧めてくる臣下に対し、「卿知其一,未知其二」という劉邦りゅうほうの言葉を引用しつつ姚興の死亡までゲリラ戦術を徹底すべく表明した。




11 月


晋書

赫連勃勃が禿髮傉檀を大破。禿髪傉檀は南山なんざんに逃れた。


冬十一月,赫連勃勃大敗禿髮傉檀,傉檀奔于南山。



通鑑

赫連勃勃は禿髮辱檀に通婚を願い出たが、却下された。そのため赫連勃勃は南涼征伐の軍を立ち上げた。禿髮辱檀は赫連勃勃を軽んじたまま迎撃し、結果大敗した。

拓跋珪が平城に帰還した。




12 月


建康

寿春じゅしゅんを守る朱綺しゅいの婢が飯を炊こうとしたところ、カラスが一斉に押し寄せ婢を食らいつくした。


通鑑

王謐おうひつが死んだ。



(晋書10-11_政事)


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