劉裕125 國學奨励詔  

乙丑,詔曰:


古之建國 教學為先

弘風訓世 莫尚於此

發蒙啟滯 咸必由之

 古来より国は教育を基礎としていた。

 風紀を整え、教導するのに、

 これ以上に優れた手立てはない。

 啓蒙、及び停滞からの脱出は、

 必ず教育が由来するものだ。


爰自盛王 迄于近代

莫不

敦崇學藝 修建庠序

 故に過去の聖王より、

 近代に至るまで、

 学問が軽んじられ、

 教育機関が建設されない、

 などと言うことはあり得なかった。


自昔多故 戎馬在郊

旍旗卷舒 日不暇給

 とは言えここしばらくは軍事続き。

 軍馬はいななき、戦旗は各所に翻る。

 そのため教育に充てられる時間に

 事欠いていた。


遂令

學校荒廢 講誦蔑聞

軍旅日陳 俎豆藏器

訓誘之風 將墜于地

 これによって教育機関は荒廃し

 経典暗誦は軽んじられ、

 祭祀も軽んじられ、

 教育奨励の気風は

 まさに潰えんとしていた。


後生 大懼於牆面

故老 竊歎於子衿

國風所以永思

小雅所以懷古

 若者たちは教育の不足を恐れ、

 老人たちは彼らのために嘆いた。

 これは詩経が国風や小雅にて

 過去のよき時代を思い、

 嘆じたのにも通じる。


王略遠屆 華域載清

仰風之士 日月以冀

 しかし、いま国土は拡大し、

 国内に平和が取り戻された。

 学問を志すものも、

 日増しに増えておろう。


便宜

博延冑子 陶奬童蒙

選備儒官 弘振國學

 よって、広く学士を募り、

 幼子に教育を施し、

 併せて教師教官を育成、

 広く学問を行き渡らせよ。


主者

考詳舊典 以時施行

 管轄者は直ちに古来のルールに則り、

 実施せよ。




乙丑,詔曰:「古之建國,教學為先,弘風訓世,莫尚於此,發蒙啟滯,咸必由之。故爰自盛王,迄于近代,莫不敦崇學藝,修建庠序。自昔多故,戎馬在郊,旍旗卷舒,日不暇給。遂令學校荒廢,講誦蔑聞,軍旅日陳,俎豆藏器,訓誘之風,將墜于地。後生大懼於牆面,故老竊歎於子衿。此國風所以永思,小雅所以懷古。今王略遠屆,華域載清,仰風之士,日月以冀。便宜博延冑子,陶奬童蒙,選備儒官,弘振國學。主者考詳舊典,以時施行。


(宋書3-17_政事)




と言うわけで、ラストの詔勅。ほんとはもう一つ載ってるんですが、個人的にどうでもいい内容だったので切り捨てました。劉裕の家柄ってどうにも学者系だった所があるようなので、本来はそういう方向に劉裕も目が向いてたんじゃないかなって思うんですよね。けど、諸々そういうわけにもいかなかった。北府軍に入らなきゃいけなかったのは劉裕にとって幸福だったのか、不幸だったのか。まぁ皇帝なんぞやらされんのなんざ、この上ない不幸だったろうなぁ、とは思います。


と言うわけで、ここから晋書……といく前に、先に高僧伝にタッチしていきます。劉裕と関わった僧+トップネームたる慧遠&法顕。いや、宋書はほんと仏教がらみの情報を意図的にカットしてますよね……そこは補完しておかないと、なんてーか、いろいろ、こわいのです。

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