晴曇空という作家
物書きになりたい
そう思った小学五年の春
そういえばあの日も僕は一人だったな
周りは楽しそうなのに取り残されて
そういう奴らから笑われた
「何を書いてるんだよ」って
説明したって聞いちゃくれないのに
あの日の僕はそれでも説明してたっけな
誰かに分かって欲しかったんだ
なりたい自分になれない自分が託した
小さいけれどヒーローが活躍する話を
完璧じゃないけど憧れたヒーローを
創作だけが分かってくれてたんだ
「お前の好きなようにやれよ」って
一人ぼっちだった僕に夢をくれたんだ
人に笑われるけど立派な夢を
それから数年後
い読まれる事と評価されることばかり気にして
創作がただ苦しい足枷になった
あの時のあいつはもういなかった
それでももう引くことは出来なかった
こうして文字を書いてる僕だけが僕で
それ以外にもう取り柄はなかったから
だから書き続けるしか無かったんだ
今だってそうだよ
僕は同じ過ちを今日も犯して
書くことにしかアイデンティティが無くて
それでいて誰かに好かれたいって思っていて
どうせこの詩を読む人はいないし
だけど通り過ぎる人々の前で歌っているんだ
出来損ないの売れない歌を
出来損ないの売れない小説を
それでもこういうことを続けてるのは
自分が幸せになれないのを知っているから
だから誰かに幸せになって欲しいんだ
自分が好きな人には幸せになって欲しいから
僕は出来た人間じゃない
傍にいてくれた人だって幸せに出来なかった
だから僕は描き続けてるんだ
純粋無垢な幸せを
大好きな誰かと笑いあっている日々を
愛する人といつもの街を行く姿を
何でもない普通の日常を
一度しか来ない今日を
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