ガリ勉になる方法

「はい、じゃあまずあんたがどれくらい出来るか教えて」


「どれくらいとは?」


「高校の勉強はどこまで出来るの?」


「全く」


「中学の勉強は?」


「覚えてねー」


木下は頭を抱えて


「そうよね、もう中学卒業してから三年だもんね。覚えてないわよね」


「どうすんの?」


「えーと、とりあえず!明日から授業が始まるからそこの予習をしましょう」


「え〜予習?やりたくねーよ」


「ここにきて駄々をこねるのね……。でもやるしかないのよ」


「卒業のために?」


「卒業のために」


正直俺はまだ覚悟を決めかねていた。

卒業というのがどれだけ大変か。

まぁ先のこと考えても仕方ない。


「やるか」


「お、あっさり」


「どうせいつかするだろう?」


「勉強と無縁でも人生は生きていけるわよ」


「でも、高校は卒業出来ないんだろ?」


「あんたそんなに卒業したいの?」


「まぁな」


「そう。それじゃあ始めましょう」


しかし、こいつは男の部屋に入って何も思わないのだろうか。

たしかにあの蹴りは強かったが、そんなに自信があるのだろうか。

だろうか。だろうか。


「お、これは……」


「いけそう?」


「わからん」


「いやわからんのかい!」


なんだかんだで十分が経った。


「おわーやりきったぜ〜」


「まだ十分じゃん」


まだ?

まだ、、、だと?


「おいおいもう十分だろうそれは」


「いや十分で勉強した気になってんの?これは重症ね」


木下は呆れて


「こんなんじゃあガリ勉にはなれないわよ」


「俺がいつそれを目指した?」


「今よ。あんたが卒業するためには一日二時間は勉強すべきね」


二時間?!

えーと今十分が経ったから……あと十倍?!


「十二倍ね」


「そ、それを毎日だと……?お前はどうなんだ」


「どうとは?」


「毎日何時間勉強してる?」


「三時間だよ」


「さ、」


「まぁこれからはあんたの勉強みるから間縫ってになるけどね」


まてよ、そんだけ勉強してこの高校か?

俺が入れるレベルの高校だ。

誰がどう考えてもレベルは低いだろう。

実際偏差値は低い。


「じゃあなんでこの高校にしたんだよ」


「え?近かったから」


酷い。

酷すぎる。

いや、俺も言えないけどね?


「とーにーかーく、やるよ?」


「うぇーす」


さて、この勉強嫌いは治るのだろうか。

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