43.ポップな時間
やってきました。図書委員としての大イベント、長期貸出。
ただいま春野先輩と一緒に放課後の図書室にいる。
「先輩、どうでしたか。私の書いた本のポップは」
先日、春野先輩に頼まれていたのだが、夏休み前に間に合って良かった。
ミステリー作品には、次々と起こる事件、明らかになる衝撃の真実、果たしてあなたはこの謎が解けるか。といったようなことを書いた。
ありきたりなことではないかと頭を悩ませた。
「うん、見たよ。文字の他に血痕とか模様もあって、一瞬見ただけでどういうジャンルか分かってすごく良かった」
先輩にそう言ってもらえて素直に嬉しい。
「もう一つのも伝わってくる物になっていて、猫宮さんはすごいね。ありがとう」
もう一つは恋愛もので、隠す恋心、すれ違う二人。といったようなことを書いた。
「これでいいのかと不安だったんですが、安心しました!」
これで後は色んな人に見てもらえればいいけれど。
「あまり来ませんね」
「まだ始まる時間じゃないから、と思いたいね」
そう今回は、一回本を借りるとくじ引きが出来るというイベントを計画していた。始まる時間にはまだなっていないため、人が来ていないということにした。
「先輩、どうしてくじ引き出来るようにしようと思ったんですか?」
「本屋さんで本を買うと、特典があったりするでしょ。そんな感じで何か特別な感じがあったら、みんな借りに来てくれるかもと思ってね」
限定品とかもあるもんなぁ。
「こんな話で申し訳ないですけど、予算、大丈夫だったんですか?」
「僕の力で通したよ。……なんてね。ちょっと大変だったかな。貰って嬉しくて、尚且つ色んな種類を用意できる物。泉先生に初め言った時、簡単にいいよって言ってくれたんだけど、物をどうするかはこの範囲で考えてねって金額見せられて」
「内容までは泉先生はほとんど関わってないんですね」
「そうなんだ。これでどうかっていう最終確認だけかな」
「先輩お疲れ様です」
「ありがとう、そう言ってもらえると頑張った甲斐があるよ」
そして私達は始まる時間になるまでまったり過ごそうと決めた。
この後、初めに来るのがあの人とは思わなかった。
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