第27話 システィアーナの正体
マリアンナの不満が吐き出されるのがいったん止まると、一度深く息を吸い込み、ゆっくりと吐き出すエスタヴィオ。
「特使として我が国にお越しの友好国の王女に対し、失礼があったようで申し訳ないね? 男性では気の届かないところもあるだろうから、同年代の女性で、使節団特使である王女に失礼のないよう、娘と、我が国でも最も外交に強い女性である侯爵令嬢を側につけたのだが、見込み違いだったかな?」
国王が、友好国の王女のために選んだ、外交に強いと信頼する侯爵令嬢。
そのシスティアーナが信用出来ないとは、国王の信頼と人を見る目を疑うこと。
今回の訪問に際してマリアンナ付きのメイドから侍女に抜擢されたばかりの伯爵令嬢は、王女付き侍女のまま職務を全うして国に帰ることを諦めた。
「国王の選出人員だったのですの?」
「そうだね。先程言った通り、若い女性の中でも取り分け彼女は、祖父仕込みの語学力と知識、幼少から王宮内で他国の大使と面識があり交流も浅くない。おかげで、他国の生活習慣や伝統文化、食生活や宗教観、民族性まで詳しくてね。
外国からの客人をもてなすには最も適した女性なのだよ」
「そ、そうですか⋯⋯」
マリアンナには、逆立ちしても敵わない事を知らされる。
語学力も教養も気配りも、同様の働きは出来ない。
使節団特使──特命全権大使(外交使節団の
娘──マリアンナからみれば叔母の嫁いだ国なら、外交を学んでいるデュバルディオも居ることだし、クリスティーナと共に、多少の失敗は何とか帳尻合わせして貰える可能性を期待したのだろう。
実際には、息子デュバルディオの、父王への孫披露を装い諜報活動するほどに、すっかりコンスタンティノーヴェル国王の妃として染まり切っているのだが。
まず、システィアーナが世話役として能力が足りない、或いは、自分に対して礼を欠く人物だとの申し入れは、エスタヴィオの選出に対する不信任となり、まだ言いたかった苦情を続けられなくなった。
「侯爵令嬢でありながら、友好国の王太子息女に対して礼を欠いた態度をとっていたとなると、彼女を信じて任せた私の目が節穴であったかな。ふむ。私の最も信頼する外交に強い
「え? は? ⋯⋯とこ、姫? 王族? 王族なら公爵令嬢なのでは? 彼女は侯爵令嬢でしょう?」
(あのシスティアーナが、国王の
マリアンナの困惑顔を見て、エスタヴィオはアルカイックスマイルで答える。
「我が国の爵位についても勉強してくれているようだね?
確かに。王族傍系三世代まで王族扱いで公爵位を叙爵しているし、四世代目からは余程の王族たる功績を積むか、王家の血を新たに取り入れなければ侯爵以下に降爵する事になっている。
さっきも言ったように、彼女は祖父の仕事振りを見て育って来ている。彼女の祖父は、この国の貿易先を拡げ友好国を増やし、外交に有益な港の開港や貿易都市を多く発展させて来た先々代王弟ドゥウェルヴィア公爵なのだけど、勿論、公爵の名は聞いたことはあるよね? シーファークへの
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父方の
母方の
と表記することがあります。
一番聞き慣れているのは
次いで
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