第34話 リングバルド使節団の帰国?
勝手に訪問国の城を抜け出して、
侍女を伴って消えたので、自発的に移動をしたのだとは思ったものの、何者かに掠われた可能性も否定できず、かと言ってマリアンナ自身が勝手な行動をしている確率が高い中、城内の警備体制に対して大っぴらに騒いでコンスタンティノーヴェルを非難することも出来ず、彼らも生きた心地がしなかった。
蓋を開けてみれば、予想通り、アレクサンドル目当てに城を抜け出し、ユーフェミアやデュバルディオに同行していたのだが、その事を窘めるべき侍女と侍従も同行していて、特使達もやんわりと苦言を呈するくらいしか出来ることはなかった。
時には変な行動力を発揮する我が儘姫だが、リングバルドの王太子グルディオンが溺愛している姫君に、一役人である彼らに強く出る事は出来なかったのだ。
そこまでしてアレクサンドルのあとを追ったのに、これと言った進展は得られず、マリアンナ姫の機嫌は悪くなる一方であった。
船上パーティーでは、滅多に踊らないアレクサンドルのファーストダンスを踊れたがその一曲だけで、ラストダンスはあの薄紅の侯爵令嬢にとられた。
あの町の有権者達の恩人の孫だから特別なのだと、マリアンナが押し掛けなければあの娘がファーストダンスをもパートナーを務めたのだと、侍女が仕入れてきた情報に、益々システィアーナが憎らしかった。
あの令嬢をなんとかしなければ。
王族縁者は公爵家と言うこの国で、侯爵令嬢であるあの娘に身の程を
ユーフェミア王女と同じ歳で仲が良く、態度は控え目のようなのに侯爵令嬢の立場を越えて何かと出しゃばってくる。
また、周りもそれを許している節がある。
マリアンナの中では、システィアーナはもはや排除すべき障害となっていた。
「あれ、どうしたものかしら? 困ったわねぇ」
アルメルティアは溜め息をついて、特使達と揉めているマリアンナ姫を見ていた。
「いいじゃない、放っておきなさいよ、とは言えないわねぇ、さすがに」
ユーフェミアも呆れている。
システィアーナ達がシーファークで町の視察と新型客船の披露パーティーに参加している間も、マリアンナ姫が行方不明とは言え、特使達は、本来の訪問の役目は果たしていた。
そして、その用件が済めば、帰国するのは当然である。
が、マリアンナ姫が帰らないと言い張るのだ。
「どうぞ、
同盟国の王太子息女で
彼女の行動力を迷惑だと思っているのはユーフェミアも同じであった。
傍目にも、アレクサンドル目当てなのはありありとしているのに、カルルのリップサービスにも悪い気はしないようだし、
「自国でもああなのかしら?」
ああ、とは、好きなようにやり、若いいい男に色目を使う事を指している。
「王女なら何でもありっていう扱いを受けて、それが当たり前になっているのかしら? それとも、彼女が特別なのかしら?」
「ははは。マリアンナは前からああだよ」
「デュー兄さま」
ユーフェミアやアルメルティアは一度もリングバルドに行った事はないが、ディオは母クリスティーナ妃と共に何度も訪問している。
アレクサンドルやユーフェミアとは面差しはさほど似ていないが、それなりにロイヤルビューティに整ったエスタヴィオとリングバルド一の美姫と名高かったクリスティーナ妃との第一子であるディオも、高貴な美形ではある。
当然、マリアンナのお気に入りの
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