第14話 なんと呼べば?
なんてこと!!
システィアーナははっきりと赤面した。
幼児だったとは言え、侯爵家の子供が年上の
「アレク」よりは「サンディ」の方が言いやすいかもしれないが、それはないだろうと当時の自分に言ってやりたい。
「思い出した、の?」
同じカウチに座っているアレクサンドルが、システィアーナの羞恥に火照る顔を覗き込む。
「すみませんでした。もうしませんから、子供の頃のことは許し⋯⋯」
「怒ってなんかいないよ。あの頃のティアは可愛かったし、子供だから、素直に呼びやすく呼んでいただけでしょう?」
「それはそうです。他意なんかありませんわ。ですが」
「成人男性を、揶揄するように女性の名で呼んだ訳ではないのだから、そう縮こまらないで。言ったよね、誰も名を呼んでくれないのは寂しいから、呼んでくれるなら、愛称でも構わないと」
困ったように眉を寄せて笑う姿は、本当に怒ってはいないらしい。
(て言うか、近い!!)
ダンスを踊る時はともかくとして、
「だから、公務で会っても、王城ですれ違っても、まわりに人目がなければ、肩書きではなく名前を呼んでくれないかな。これは、命令ではないよ。親戚で幼馴染みからの、
(本当に、ズルいですわ。そんな言い方をされたら、拒否しづらいではないですか)
とはいえ、今更「サンディ」とは呼べまい。なんと呼べばいいのか。
システィアーナには、ユーヴェルフィオのように気軽く「アレク」呼びは無理だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます