第6話 元・公爵家次男オルギュスト
よく考えろと言われても、納得がいかない。
領民を食べさせていくために、領地を管理しながら騎士として国に貢献する。
そこに、嫡出男児のいない侯爵家が婿養子をとるのは解る。侯爵家の血を残すには、システィアーナにも夫が不可欠だ。
だが、なぜその相手を国王が決めるのだ。
惚れた相手の方が、睦まじく暮らせ、領地管理にも張りが出るのではないのか。
「お前に袖にされ続けたシスティアーナ嬢と寛大な陛下の御言葉により、お前はこのまま騎士になる事は赦された」
「⋯⋯はあ」
元々、成人後の兵役で、国境警備の騎士を選び、それなりの成績を修めた。国防に努める騎士は、自分に合っていると思う。
このまま騎士になるのは当然のこと、今更赦しが必要なのか?
「また、お前の浮気相手の⋯⋯」
「父上! 浮気相手ではありません、私は本気でマルティーネと添い遂げるつもりで⋯⋯」
「バカモン!! お前は先代陛下の御言葉により、システィアーナ嬢の夫となることが決まっておったのだ。それを別の女に目移りすれば、それを世間では浮気と呼ぶのだ!!」
──そんなのは、俺の望んだことじゃない!!
「とにかく、マルティーネ嬢との婚姻も許可がおりたので、お前はこれよりマルティーネ嬢を娶り、元の所属先である辺境伯の国防軍で、一平民の騎士としてお国に仕えるのだ。よいな?」
──一平民?
「マルティーネ子爵令嬢の父御は、官僚子爵で世襲制はない。お役目を終えられたら爵位は返上される。職務を円滑に行えるよう、権限を持たせるための貸与称号に過ぎん」
そうか。そういう事もあるのか。
元々後を継げない次男。子爵位をあてにしていた訳ではないし、騎士として真っ当に仕えていれば、いつかは武勲功績を挙げて、士爵位を賜ればいいのだ。
その、オルギュストの目算は、お前なんか取り立ててやらないよ、というエスタヴィオとアレクサンドルによって閉ざされた道ではあるが、本人は知らない事である。
「お前の今後の態度と、公爵家次男として家名に恥じぬ騎士となり、真摯な態度で立派な行いが出来なければ、儂は、王命による婚姻を、
「え?」
勿論、オルギュストには伝えないが、その査定対象には、セルディオ本人の宮廷人としての能力も加味される。
「お前の兄ファヴィアンは王立学校の成績もよく、王宮での信頼もあるから
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