浮世離れした高専生による不道徳教育講座

羽衣石ゐお

はしがき

 こんなことをはしがきに書いていいのかは知らないけれども、面白いから言っておく。

「高専というとこでは(言ってしまえば人生では)頭のネジを外した、べらぼうに馬鹿なやつのが、一番幸せになれる」

 ……別に一般論としての馬鹿=幸せな人……というわけではない。ただ、高専というところは、世俗からだいぶ浮世離れした場所で、きっと中学の友人に高専のことを話してみるだけでも、えらく大きな肴になる。私服登校をはじめ、ガバガバ校則、五年制、共通試験を受けなくてもいい、夏・春休みが長い、授業が九十分……とまあ色々。

 冒頭からなにが言いたいのかというと、要は世間一般で語るところの「高校生」というものから高専生はもうずいぶんと解離した存在であるということだ。すなわち、常識なんてものが、ひとひらもないのである。

 私は授業中にスマホを弄るし、遅刻をするし、朝から晩までへらへらしているような人間だ。しかし、私が生来こうであったというわけではなく、高専で幸せについて本気で考えた結果がこうであったというだけである。

 遅くなったが、新入生の君、入学おめでとう。

 これからきっと不確かな『高専』という存在に不安を抱いてしまうだろう君に向けて、ちょっとばかり不道徳な教育講座を展開していこうと思う。


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