あなたの手

ゆーく

♦︎



知らないうちに放り込まれていた場所


何を覚えるよりも先に与えられたのは殺す道具と死体の山


むせ返る臭いや耳障りな断末魔、生々しい感触は受け入れてしまえば慣れるのも早かった


そう、受け入れてしまえば楽になれたから


そう、受け入れてしまえば簡単だったから


何かを壊すことも

何かを殺すことも


難しく考える必要などなかった


気に入らないから殺す



単純だ

そして、なんて簡単なのだろう



殺せば気に入らないもの全てが自分の前から消えるのだから



だから、その願いさえも自分は簡単に叶えてやれる

だが自分はまだその瞳を見ていたいから

その声で何を喋るのかを聞きたいから


殺すのはソレに飽きてからでも遅くはない



------------



「私を、殺してください」

「じゃあ俺に惚れろ」


これは、死にたがりの少女と恋をした暗殺者のお話





「そしたら愛し尽くした後に俺が殺してやるよ」





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