ソロ○○
影神
理想と現実
現に今。アニメ化され、感化し、
自らも名乗りを上げる者共が続々と増えてきた。
しかし、利用者達のマナーが悪く、
利用出来る場所が閉鎖されてしまった所も、
数少なくない。
ただ、楽しく、きちんと利用出来れば、
それらは素晴らしい"時間"ともなりうる。
"それは時をも越え、次元すらも超越する"
そう、彼は、、
『ソロキャンパー』
なのだった。
テ~レテ~テテテ~
「はぁ、、俺、何やってんだか、、」
社会に上手く溶け込めず、
上司のキツい当たりに耐えて、
貰った金額はそれに値せず、、
水と油だった親父は先週死に、
残った家族はじいちゃんと母親だけ。
兄弟等はおらず、親しい友も居ない。
勿論、可愛い嫁がいる訳でもなく、
異次元への期待を胸に夢見たりする。
「はあ、、
俺。何がしたいんだろう、」
人生に迷い、迷って、さ迷ってすら、
正解と呼ばれるモノは見付からず、
気付けば30代を迎えた。
通勤や、休日の外で、仲良く繋ぐ手を、
微笑ましい家族の会話を、
ただ、羨ましいそうに見つめる俺が居た。
親父とは、ずっと合わなかった。
だから、家から出て、上京した。
上京したって何かが変わった訳じゃない。
俺は俺でしかなかった。
日々を生きる為に働き、
貯金等する余裕もなかった。
保険、年金、税金、、
全て吸い付くされた。
もしもの、仮の場合の為に、、
最後に親父と遊んで貰ったのは、
幼稚園の時だったか、、
「キャッチボール、、
したかったな。」
過去に浸り、感情を揺さぶられる。
「会社、、辞めようかな、、」
葬式で地元に帰り、流でじいちゃん家に居る。
じいちゃん家は何もない。
だが、土地はあった。
開けた土地。
物置に呼び出され、じいちゃんは中から何かを取り出す。
じいちゃん「あいつの御古じゃが、、
お前が使うなら使ってやれ。
あいつも、一人で迷走したよ、」
じいちゃんから貰ったキャンプ道具一式。
親父が使ってただろう物。
名残惜しくも、親父の顔が過る。
「何で俺ら仲良く出来なかったんだろうな、、」
じいちゃんは察し、歳がらにも無く、俺の頭を撫でた。
俺はその温もりを黙って受けた。
じいちゃん「誰しもが、両親と上手くいくもんじゃない。
血が繋がっているからこそ、時に合わない事もある。
失ってから気付くその関係は生涯大切なものになる。」
手を離す時、じいちゃんの手が震えていたのが分かった。
いくつかの注意を受け、俺はテントを立てる。
もうすぐ日が暮れる。
美しい自然の緑にオレンジ色が差し、
何とも言えないグラデーションが出る。
こんな風景もあるんだな、、
風景に浸りながらも作業する。
時間を掛け過ぎても仕方ない。
早々に作業を進め、無事完成した。
「おお、、
まあまあ、じゃないか?」
自画自讃してみる。
火は、、
直火はいけなかったんだな。
少し焦げている布地の様な物を下に敷き、
集められた枝木や、燃えそうな物を調達する。
「よしっ、、」
なかなか付かなかったが、
それすらも新鮮で、退屈ではなかった。
火は弱々しくも、暗くなった辺りを照らし始めた。
「昔はこうして、皆付けてたんだよな、、
便利な世の中にはなったけど、、
生きずらい世の中になっちまったよな、」
鞄の中にはカップラーメンが幾つかあった。
「これ、賞味期限大丈夫なのか、、」
裏を見ると、期限は全然大丈夫だった。
?
じいちゃんが使ったのだろうか。
いや、、
「まあ、いいや。」
火が消えぬ様に、枝をくべる。
もう少しあった方がいいかな、、
近場を探し、ある程度の量を集める。
手が汚れたが、叩いて終わりにした。
何か、やってる感があった。
シートを広げ、慣れない事をした事に疲労を感じ始め、
体を地面へと預ける。
「かってぇ、、」
小さな石ころが背中に刺さる。
「いたっ、」
が、目の前の光景にそんなことはかきけされた。
「、、、綺麗だ。」
夜空に浮かぶ幾億とある星達は、、
無数に、眩き、各々の存在をアピールしていた。
俺はその光景に涙した。
都会では、上を見ることはなかった。
下を向き、ポイ捨てされたはいがらや、
穴の空いた地面を毎日眺めていた。
「あぁ、星ってこんなに綺麗だったっけ、、」
溢れる涙を拭うと、足音が近付いてくる。
じいちゃん「ほれ、、
じいちゃんは察し、入れたてのコーヒーを差し出す。」
俺は受け取り、頂く。
香りが強く、苦味のある味は何処か懐かしかった。
じいちゃん「ここは星がいつ見ても綺麗だ。
お前の気の済むまで、ここでこうしたって構わない。
誰にも邪魔されず、何も考えないでいる時間も、
"生きる"事に代わりはない。
"休む事も難しい事なんだよ"」
そう言うと、ゆっくりと帰って行った。
「あぁ、コーヒーうめえな。」
コーヒーは少し、しょっぱくも感じた。
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