第154話 顔合わせ
この状況は……
葵と使っていた二人用のテーブルを四人で囲んでいる。
「いや〜日本のお茶はやっぱりおいしいな〜。やっぱり緑茶だよ」
「ありがとうございます」
「ところで山沖くん、改めてお礼を言わせてもらうよ。葵を助けてくれてありがとう。葵は昔から無茶する子でね。言い出したら聞かなかったんだけど、どうしてもサバイバーとして日本で活動すると言って聞かなかったんだ。それが案の定ね」
「はい」
「一度ぐらい痛い目を見たほうが今後のためかとも思ったけど、モンスター相手じゃ命懸けだから、助けてくれて本当にありがとう」
「いえ、本当にたまたま居合せただけなんです」
お礼を言われて悪い気はしないが、そこまでのことをしたわけでもないので恐縮してしまう。
「いやいや、その後のこともだよ。葵のパートナーになってくれて、葵を助けてくれてるんだろう? クリスティからもよく話は聞いてるよ」
クリスティーナさんから聞いてるって葵だな。
「助けてもらっているのは僕の方です。葵さんには本当にお世話になりっぱなしです」
「凛くん、そんなことありません。お世話になっているのは私の方です」
「はは、仲が良さそうで何よりだよ」
「やっぱりサバイバーは危険な仕事だからね。ソロでは限界がある。パートナーが一人いるだけで安心感が全然違ってくるから。葵には、いいチームを組んでほしいと思っていたんだけどなかなかメンバーが見つからなくてね」
「あの〜失礼ですが、もしかして弦之助さんはサバイバーだったんですか?」
弦之助さんの口ぶりがやけにサバイバーに詳しい感じだったので、思わず聞いてみる。
「サバイバーだったというか一応今でもサバイバーのつもりだよ。仕事が忙しくてほとんど依頼を受けることはなくなったけどね」
「そうなんですね」
「クリスティーナもサバイバーだよ。僕達は若い頃にパートナーだったんだ」
「え!? そうなんですか?」
「いや〜あの頃のクリスティーナは可憐だったな〜」
「あなた、あの頃は!?」
それまでニコニコと座っていたクリスティーナさんが突然静かな声を上げたが、その瞬間部屋の空気が凍りついたような錯覚を覚える。
「言葉のあやだよ、あや。今でも可憐で美しいよ」
「そう、それならいいけど」
この一瞬で、二人のパワーバランスがわかった気がした。
「スターダストプリンセスは伊達ではないよね」
「スターダストプリンセス?」
「クリスティの二つ名だよ。かわいいだろ?」
「あ、はい」
スターダストプリンセス。またすごい二つ名だな。それに二つ名があるってことはクリスティーナさんは相当高位のサバイバーってことじゃないのか?
「氷のように鋭く、ダイヤモンドのように煌めき可憐に舞う。それが現役時代のクリスティだよ」
「あ・な・た 現役時代のって今も現役ですけど?」
クリスティーナさんが言葉を発するたびに確実に室温が下がっていっている。
これがスターダストプリンセスの力か……
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