第10話 レベル4
その日から俺の目標にお金を稼ぐ事とは別にゴブリンを倒しレベルアップをして『ライトニング』を使える様になる事が加わった。
目標を持ったからと言って急にモンスターが増える訳ではないので今まで通り頑張るだけだ。
しかしあの神木仁と言うサバイバーは明らかにFランクより上の実力があるように見えた。
サバイバーの端末通知は概ね2種類の設定を選べる仕様となっている。
自分の該当するランクのモンスターのみの通知を受け取る設定と自分の該当するランクのモンスター以下を全て受け付ける設定だ。
恐らく神木仁は後者の仕様を選択しており、該当ランクよりも低いオークも倒したのだろう。
風貌が厳つく怖いのでお近づきにはなりたく無かったが、俺にも声をかけてくれたし、圧倒的に俺より強いのでちょっとかっこいいと思ってしまった。
俺はその日から二ヶ月半かけてゴブリンを頑張って倒し続けた。
二種類のスキルを使い分けてゴブリンをソロで倒して回ったが、流石に最初の頃と違って手慣れて来たので、一ヶ月を越えた頃から少し余裕を持ってゴブリンを倒せる様になっていた。
Fランクモンスターをソロで狩る事がライフワークになって二ヶ月半経った頃討伐数は四十匹に上り、俺の手元には初月の貯金と合わせて二五万円が残されていた。
そして遂に俺はレベル4に上がる事が出来た。
俺の新しいステータスは
山沖凛
サバイバーLV4
スキル 『フェイカー』《ウェイブブレイド3》《ファイアボール4》《ライトニング1》
残念ながらレベル4になってもスキルのゲージが増える事は無かったので、もしかしたら俺のスキル『フェイカー』は三つの模倣スキル使用が上限なのかもしれない。
代わりに『ライトニング』が一回だけだが使用出来る事になったので実質レベル4になる事によって、使用出来るスキルが1つ増えたのと同じだ。
俺の『フェイカー』で模倣したスキルの効力はかなり劣化版となるので、あの凄まじい威力を見せた『ライトニング』も、俺が使用すると大した事無い可能性も十分あるが、それでも三つのスキルの中では最も使用可能回数が少ないので、その分だけ威力も期待できる可能性がある。
「あと一つだな」
そしてレベル4になった事により後一つレベルが上がれば現在のGランクからFランクに昇格する事ができる。
一年以上ずっと最下層のGランクだったので、ランクアップは自分の中ではほとんど諦めていたが、後少しで手の届くところまで来た。
Fランクになればもっと上のランクのモンスターも依頼が入るようになるので、レベルもお金ももっと上を目指す事ができるようになるはずだ。
今の生活にも特に不満は無いが、一旦夢を見てしまうとそれを諦める事は難しいので、新しく使える様になったライトニングを使いこなして上を目指して行きたいと思う。
レベル4になってから三日が経ち『ライトニング』の威力を試したくてうずうずしているのだが、この三日間俺のサバイバー用の端末は何の音も発しなかった。
我慢できなくなった俺は夜自転車に乗って公園まで行って『ライトニング』を使ってみたが、残念ながら良く分からなかった。
瞬間的に雷が発生して強烈に閃光を発したので、使う事は全く問題無く出来たが、威力が強いのか弱いのか対象物が無いので良くわからなかった。
普段で有れば二日に一回程度は通知が来るので明そろそろ通知が入りそうなものだが、逆に言うと、この界隈は今週、低級モンスターの脅威からは遠ざかっているという事なのでいい事なのだろう。
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