第16話第3の遺体
「お兄ちゃん」
沙夜はバタバタと走ってきて僕の部屋を開ける。
「どうしたの、沙夜」
「お兄ちゃん昨日、学校いかなかったでしょ?大変なことがあったのよ」
沙夜がこんなに慌てるのは珍しい。
「とりあえず、テレビを観て」
僕はテレビをつけた。
テレビから聞こえた内容に僕は愕然とした。
「安斉山町の安斉高校の生徒、山崎勝行さんが昨日遺体で発見されました。遺体の損傷はひどく、首が切り取られていたとのことです」
ニュースキャスターは淡々と事件について報道している。
山崎…僕に喧嘩を売ってきたやつだ。
「ねぇ、この人のこと知ってるの?」
「ああ、僕のほっぺを傷つけたやつだよ」
「今日は学校行くのやめたら?疑われるんじゃない?」
「疑われるって、僕はなにもしてないよ」
「わかってるよ、でも」
ピンポーン 家のチャイムがなる。
僕たちに緊張が走る。
「ど、どちら様ですか」
「あー、警察のものです。ニュース観たでしょ、ちょっと話聞きたくて来たんですが、開けてくれませんか」
こないだの刑事だ。
「お兄ちゃん、どうするの」
別にやましいことはない。
「どうぞ、お茶はありませんけど」
僕は扉を開けた。
「お母さんは?」
「あれから寝てる時間が多くなりましたよ。精神が壊れたようです」
「まぁ、そりゃ仕方ないか、今日のニュース観た?君被害者とケンカしたとかきいたけど」
「ケンカなのかはわかりませんがいきなり殴られたので殴り返しただけですよ、それに昨日は疲れてずっと家にいました」
「それを証明できる人はいる?」
「ちょっとお兄ちゃんを疑っているんですか?私が学校に行ったときはまだお兄ちゃんは寝てました、確認してます。その山崎って人はいつ殺されたんですか?」
「お嬢ちゃんそんなにしゃべるんだね、彼が殺されたのは午前6時頃だね、じゃあ君はここにいたんだね」
「はい、私は一緒に寝てて一度目が覚めたとき6時でしたけど、横でおにい、兄は寝ていました」
「一緒に寝てるの?珍しいね」
「家であんなことがありましたからね。とにかく僕は何もしてませんよ」
「わかってる、わかってる。一応業務上やらなきゃいけなくてね、気分を害してすまんね」
じゃあ、帰らせてもらうわ。
刑事はさっさと帰っていった。
「やな感じ」
「なんだか、疲れちゃったな。今日はもう学校はいいか?」
沙夜もこくりとうなずき同意した。
しかし、山崎はなぜ殺されたんだ…
ここ数日で人が死にすぎている。
早くここから出たいけど…沙夜お前は犯人を見つけないと気が済まないんだよな。僕は沙夜に視線をうつす。
沙夜はまたスマホでゲームを始めていた。
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