ジントニック

 壁に掛けられたテレビでは

 どこかの国の選手が白黒のボールを追って。


 人のまばらなバーには

 振り回すような歌い方の女性の声が

 無言と人の隙間を埋めて。


 それが僕への声援のようで。


 傾けたジントニックからライムが香る。

 酒の精ジンの力を借りて。


「下戸だけど」


 ――呷る。

 そして今夜もプロポーズに失敗した。

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