渋滞

 帰宅ラッシュにつかまった夕方の道路。


「ふあぁ……」


 噛み殺しきれない欠伸あくびを聞いて

 彼女が気を紛らわそうと話しかけてくれる。


「今、流行りの漫画でね」

「……うん」

「女子高生探偵モデルがバイオリンの大会で

 優勝した瞬間、異世界から召喚されて――」

「……設定が渋滞してるね」


 眠気にもう負けそう。

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