消しゴム

「あれ……」


「消しゴム?」

 筆箱を探る私に、隣の席の男子。

「これ使いなよ」


「ありがとう」


 触れた指先に照れながら

 黒いオシャレな消しゴムでノートを擦る。


 文字は消えるどころか線が増えていく。


「は?」


 シャーペンの芯が刺さった消しゴムを

 ニヤニヤしている男子に投げつける。


 恋は始まりそうにない。

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