たんぽぽ

 踏もうと思えば踏みつぶせた。

 だけど、その姿は故郷にいる我が子のようで。


 一瞬の戸惑いが逃走計画を狂わせた。


 なにかが撃ち込まれる衝撃。


 銃を手に駆け寄ってくる人間たち。

 掛けられていく網や縄。


「脱走ライオンを捕獲!」


 薄れゆく意識の中、荒れ果てていた故郷の大地に

 咲き誇るたんぽぽの夢を見た。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る