桟橋

どっどっどっどっ。


エンジン音を立てて船が海へ滑り出す。

白い波の先、故郷の島が小さくなる。


思い出の桟橋に立ち尽くすあの娘に手を振る。

島に残ると決めたあの娘。

島を出ていくと決めた僕。


僕の心臓の音とエンジン音が重なり合い

穏やかな春の海を船はゆっくりと進んでいく。


どっどっどっどっ――と。

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