天国

「お嬢様、お待たせしました」


コーヒーのいい香りがする。


黒い短エプロンにワイシャツ姿の

『執事』が恭しく礼をする。


――が、動きを止めて、上目遣いで言う。


「ねえ、コーヒー淹れるたびに、これするの?」


執事喫茶に行けないから、

君に執事ゴッコしてもらうしかないもん。


「ふふふ、天国にいる気分」

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