美容室
「モテ髪にして下さい」
もうそんなこと言うお年頃なのか。
淋しい気持ちで、僕なりのシンデレラに仕上げる。
猫っ毛の君に合うように髪を巻く。
「いかがですか?」
「これで男の人はイチコロですか?」
もちろん、と笑うと
鏡の中のシンデレラと目が合う。
「好きです」
澄んだ声が、美容室に春をつれてきた。
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