打ち上げ花火

笛のような音が鳴る

ひとすじの柱が夜空を駆けていく


一瞬の静寂のあと

破裂音とともに闇色のキャンバスに

大輪の花が咲き乱れていく


隣に立つ君の顔がよく見える

思わず口に出てしまう


「きれいだね」


花火に夢中になっている君は

夜空を見上げたまま頷く


「本当にきれいだ」


僕はずっと隣の花ばかり見つめていた

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