第4章

第53話

西暦2170年10月2日




 その日、僕は16歳の誕生日を迎えた。






 と言っても、何かが変わるということはない。






 ただ、いつもと同じように朝起きて、朝食を食べる。






 映像授業に出席し、昼食をとりながらクラスメイトとの談笑をする。






 午後の授業に出席し、授業後は少し自宅まわりを散歩する。






 夕食を食べ、課題をしたり友人と電話をして夜になったら寝る。






 おおよそ、一般的な高校2年生の行動だ。






 特に何ら変わったこともしなかった。






 僕自身が何か特殊なことができる人間というわけでもない。






 だから不思議だった。






 なぜ僕が選ばれたのかが。






 なぜ僕だったのかが。











 「勇者様、どうか我が国をお救いください。」
















 ああ、なぜ彼女を見捨てた僕が勇者なんて存在に選ばれたのだろうか。

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