第52話
「はてさて、どうしようか。」
帝都の景色は、見事な夕焼けで照らされていた。
私たちは、宰相の話を聞き、結局隊長を引き受けることとなった。
その日は、5人組の組み合わせの変更や連絡を行っていただけで、あっという間に時間が過ぎていった。
私は城からの帰り道、少し寄り道をしていた。
帝都を一望できる高台からの眺めは見事なもので、夕焼けを見に来たのか、高台には他にも何人かの人影があった。
「このまま勝てるのかな?いや、勝てないだろうな。」
隊長の話を受けるとともに、この戦争に参加する予定のお互いの戦力を見せてもらった。
パッと見たとき、最初に思ったことは数が途轍もなく多い、ということだった。
下手すれば、いくつかの小国の総人口の合計よりも、動員した兵士の数の方が多いぐらいだ。
けれど、次に思ったことはこれしかいないのか、という先ほどとは真逆の感情だった。
確かに、用意された人員は非常に多い。
しかしこの世界は、元の地球とは違ってステータスが存在する。
ステータスというものは残酷だ。
どれだけ数がいても、位階が3も離れていればその差は決定的だ。
地球では単なるとても強いことを表す表現だったが、この世界では一騎当千は文字通り余裕で出来る、できてしまうのだ。
聖国に存在する兵団に、第1から第6まで存在する聖騎士団というものがある。
デムス騎士王国ほどの騎士団ほどの強さはないが、それでも所属しているものの大体は6位階、半分は5位階に到達しており、隊長や団長クラスになれば4位階にも到達している者すらいる。
そんな軍が、今回の戦争では第1から第6まで、すべての聖騎士団が参加するのだ。
帝国側の兵員は確かに莫大だが、所詮は8位階に達している者すら珍しい軍隊である。
鎧袖一触、肉壁にしかならないのだ。
幸い、十大列強の数はこちらの方が多い。
そのため、案外どうにかなるかもしれない。
しかし、一応保険も必要だろう。
私は、もうすっかりと日が沈んで暗くなった帝都を眺めながら、徐々に迫る大戦争の気配を、しっかりと感じていた。
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