第43話
「待機だってさー、待機。暇すぎるだろう。」
「仕方ないだろう。一応私たちは、帝国の切り札として扱われるんだ。それに噂の勇者たちも、どれほどの強さか分からない。油断するなよ。」
「わかってるよ、ったく。がみがみとうるさいねぇ、うちの隊長さんは。」
「まあまあ、そう言わずに。ハマーもそんな隅にいないで話に参加したらどう?」
「・・・いい、一人でいる。」
私は、私たち特殊戦闘団は今、戦場の真っただ中にいた。
話は2か月前、コロッセオでの発表までさかのぼる。
帝国の宰相だという男の話を聞いた時、これに参加しようと思ったのは勘だった。
この戦争に参加すれば、自分にとって良いことがあるという。
だから、話を聞いてすぐに、コロッセオに急遽設置された戦闘団募集受付に向かった。
階段を下りて向かっているときに思った。
戦闘団は、少数精鋭部隊で行くと聞いていた。
だが、受付に向かう者の中には、明らかに弱い者も混じっていた。
どうも、受付時にはそれは判別していないようで、どうやって決めるのかと思っていると、その疑問は4日後、受付の結果をもとに集められた時に驚きと共に氷解する。
この国の皇帝にして、十大列強の三帝が一人、戦帝が4列に並んだ私たちを全て、勘で選び抜いていたのだ。
三帝は、単独としての十王並みの圧倒的な能力と、集団戦での五皇並みの完璧な指揮力を併せ持つことで、ようやく候補者に選ばれることができるというものだ。
その中でも、戦帝というのは、戦争でその圧倒的な才をふるうことで彼が得た、世界に認められた二つ名だ。
その、軍事に関する勘の良さは決して舐めていいものではない。
戦闘団のメンバーに選ばれなかった者が帰ったのち、再び戦帝の勘により4人一組で組み分けが行われた。
そして、選ばれた4人とその隊長としてやってきた兵士1人の、合わせて5人で小隊が作られた。
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