第6話 バス

あ、田中さんが走っているよ。

ほんとだ。珍しく急いでるな。


バスが停まってる。

田中さんバスに乗りたいのかな。


あっ、バス行っちゃった…

後少しだったのに、肩で息しながら立ちすくんでるよ。


また走り出したぞ。

まさか次のバス停で乗る気か!?


気になる、追いかけようぜ。

そうだな。俺たち自転車だし先回りしよう。


バス停まってるな。

田中さん来た!


あ、バス行った…。

田中さんまた間に合わなかったな。


さすが田中さん、ツイてないな…。

いや、諦めてないぞ。また走り出した…!


おいマジかよもう無理だって、さっきより明らかに遅いじゃん。

そりゃバス停からバス停まで全力疾走だったからな。


どうする?追いかける?

もう結果見えてるだろ。


田中さんの頑張りを見届けるのが俺たちの役目だろ!?

何熱くなってるんだよ…。分かった、見届けるよ。


はぁ、はぁ、バス、チャリの俺たちでも追いつくのやっとだ…。

もう無理だよ、絶対間に合わないよ。


あっ、田中さんだ!

ほんとだ、なんで追いつけてるんだ!?


頑張れ、もう少し!

運転手さん、いい加減田中さんに気づいてあげて!


あ………

…行ってしまったね。


田中さん凄いしょんぼりしてる。

そりゃ、あんだけ走って間に合わなかったらな。


あ、田中さんがコンビニ入ったぞ。

ほんとだ、喉が乾いたんだろうね。


昼間からビール買ってる!!!

そりゃ飲みたくもなるだろ、あんだけツイてなかったら。


店の角で一気飲みしてるぞ。

体に悪そうだな。


でも過ごく幸せそうに飲んでる。

田中さんが幸せならそれが一番だよ。

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