第二十五話
学校に行くと周りは騒然としていた。
それもそうだ、『学年一の美少女』そう呼ばれていた俺の彼女。
鈴木玲がトラウマによって記憶喪失。
しかも、その記憶が戻ることがないからだ。
俺はその現場で、翔悟が席に着いている目の前で。
「みんな、聞いてくれ!! 玲は……玲は翔悟によって記憶喪失になったんだ!!」と大声で言った。
次の瞬間、一人の男子が俺の顔を思いっきり殴った。
「なっ──」
そのまま、席にぶつかった。
「な、何するんだよ……」と俺は鼻血を手の甲で拭くと。
その男子は俺の胸ぐらを掴んで、泣き目で。
「てめェのせいで、せいで、玲さんは記憶を無くしたんだ!! なぁ、玲としてて楽しかった!?」
な、何を言ってるんだ……こいつ。
そこで、俺は気づく。
翔悟の存在を──。
俺は翔悟を見ると翔悟は俺を見てニヤリと笑った
やはり、その様だ。
どうやら、翔悟が先に周りの奴らに何らかを伝えて俺に濡れ衣を着せたらしい。
ほんと、どいつもこいつも。
『ぁあー、だめだ……』
俺の彼女の玲なのによ……俺がそんなことする?
てめェらみんなふざけてんだろ……。
『だめだ……』
ほんとは自分が一番つらい!!
そんな気持ちに押し付けられて周りへの悪口しか出なかった。
ほんと、ほんと、ほんと……ずっと思ってたよ。
お前らみんなバカだな……。
玲は俺のことが好きなのに、それでもお前らはアピールしてたしよ。
そもそも、俺は幼馴染なんだよ。
お前らが、勝てるはずがないだろ?
女子もよ……玲を使って男を作ろうとするんじゃねぇよ……。
そう思うと、俺は立ち上がり。
「てめェら、みんなゴミだな……」
俺はその男子の顔面を思いっきり殴った。
それと同時に鼻血を垂らしながら気絶する男子。
その様子に周りは愕然とした。
でも、俺はそんなの無視して。
「翔悟、お前、何した?」と言うと翔悟は立ち上がり、俺のところへ来て。
「ただ、事実を伝えただけさ……こんな風にね……」
翔悟は周りにいる人の方を向いて。
「優斗が、優斗が玲にこうしたんだ!!」と玲が土下座をしながら「ヤらしくてください」と言っている動画を見せた。
こいつ……。
俺はすぐさまに翔悟に殴りかかった──。
それは、昨日果たせなかった病院での一発分だ。
もうすでにこの時には病院の時の様に自分をコントロールする力は無くなっていた。
俺の拳は翔悟の顔面に当たった。
しかし、体幹の良さで倒れることはなく翔悟は俺の肩を掴み、思いっきり
「うっ──」
その場で両膝をつけて鳩尾を抑える俺。
そして、翔悟は俺の耳元で──。
「お前と俺じゃぁ、全部において違いすぎるんだよ……とっとと消えろや……」
翔悟に群がる周りの女子たち。
「翔悟くん、大丈夫?」と葵さんは翔悟に心配そうな顔をしながら言った。
「ああ、大丈夫……後で先生が来たら全部チクろう……こんなやつ、この学校にいたら次は誰がターゲットになるか分からない」
何言ったんだよ……こいつ。
翔悟に腹を立てる俺。
何よりも、何でもかんでも翔悟の言葉を鵜呑みにする周りが憎かった。
何も見ていないくせに、何も知らないくせに、翔悟の言葉だけ信じんのかよ……。
「おまえら……絶対に後で後悔するぞ……こいつの言うことを信じると……」
そして、俺はその場で激痛のあまり気絶した。
○
優斗が気絶しばらくすると、一人の女子が立ち上がった。
それは……夜空。
「優斗くんは悪くありません!!」と声を震わせながら言う夜空。
(人前で話すのは怖い。でも、玲が記憶を戻す前に翔悟へ復讐して優斗くんに告白して付き合う為だ)
その言葉に周りはシーンとなった。
夜空を注目する周り。
無理もない、普段喋らない人が突然喋りだしたのだ。
しかも、このタイミングで……。
「今の動画、もう一度見てください!!」
夜空がそう言うと周りはその動画を翔悟のスマホを使って見た。
(この、俺の計画を潰したゴミ野郎が。なんだ? 優斗が好きだから優斗に付く? バカめ……俺に付けばいいものを……そうすれば、お前も抱いてやるのによ……まぁ、もう、お前なんてどうでもいいけどな)
「そこです、もう一度、しっかり聞いてください……」
周りは夜空が指定するシーンで耳を向けた。
すると、「はははは」と微かに笑い声がした。
この声は……。
一人の女子が顔を青くして「翔悟くん……」と言った。
「んなばかな!! なぁ? 翔悟……」
翔悟はスマホを思いっきり叩きつけて、「お前ら、何も……聞いたないよな?」と言い夜空に近づき。
「これ以上、俺の人生を潰すんじゃねぇ」
夜空を睨む翔悟。
昔の夜空ならできなかった……でも、今の夜空は違った。
それに負けずに翔悟を睨む夜空。
「なんだ? 好きなやつの為にそこまで頑張んのかよ──ッ!!」と翔悟は夜空を思いっきりビンタした。
ピシンという音が教室中に響き渡った──。
その行為をして我に帰る翔悟。
翔悟は恐る恐る後ろを振り向くと周りは翔悟を見ていた。
翔悟はその場で両膝をつけて「違うんだ……」と言った。
(バカだなぁ〜、翔悟は……)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます