第38話 感動の再会?

次の日、七日目の朝だ。もう一週間が経ったのかと感慨深いものを感じながらも、日の光を浴びて目が覚めた。


今日はついにこの屋敷を出て、父さんたちに合流する日だ。


この屋敷のみんなを見捨てるつもりはさらさらないので、父さんたちの組織に参加したのち、またここに帰ってくるつもりだが、距離を考えるとすぐには戻ってこられないことも視野に入れなければいけない。しかしその間は、みんなに任せても問題ないだろう。


朝食を終えると、半田さんと清水さんがすでに出発の準備を整えた状態で俺を待っていた。


「それでは行きましょう」


そう言う清水さんに連れられてヘリコプターまで向かう。その間、屋敷のみんなに見送られながら、にこやかに「行ってくる」と伝え、とうとう出発の時だ。


「しっかりとシートベルトを締めてください」


ヘリコプターの羽が回る音にかき消されないよう、大きな声で注意を呼びかける半田さんに、うなずいて同意を示すと、徐々に機体が浮いていく。


そして完全に浮いたと思ったらそのまま上昇していき、すぐに屋敷が小さくなっていった。


「清水さん、今って空は安全なんですか?」


昨日から気になっていた疑問を尋ねると、


「いえ、完全に安全だとは言えません。飛行型の魔物もいるので、対策をする必要があります。しかし、ヘリコプターの速度に追いつくような速い魔物はあまりおらず、出た場合は遠距離攻撃のある私が対応します」


そう言って清水さんがステータスを見せてくれた。


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名前:清水 清美しみず きよみ

種族:人族

職業:風系魔術師

ジョブレベル:21

必要経験値:78/1000

【ステータス】

|MP   :10+(10×0.6×21)    |=136/136

|攻撃力 :5+(5×0×21)      |=5

|耐久力 :8+(8×0.1×21)     |=25

|速度  :7+(7×0.1×21)     |=22

|知力  :10+(10×0.6×21)    |=136

【所持スキル】

低級魔術 レベル4

【瞑想】【攻撃魔術 2MP】【マジックバフ 1MP/m】【防御魔術 5MP】【範囲攻撃魔術 5MP】

中級風魔術 レベル3

【ウインドランス 10MP】【エアーアップ 4MP/m】【ウインドウォール 15MP】

【所持SP】

5000P

【装備品】

なし

【その他】


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ステータスを見ると、驚くことに清水さんはとても強かった。これだけレベルが高いということは、それなりの戦闘経験があるのだろう。それに、こんな短時間でここまでのレベルにするのは難しい。


「すごいですね。ここまでのレベルになるまでに、かなり戦ってきたんでしょう? そんなに魔物が多いんですか?」


「そうですね、何度か討伐に参加したりもしましたが、ここまでレベルを上げられたのは、社長たちが多くのMPポーションを与えてくれて、それによって魔法を多く使えたこともあると思います。魔物に関しては、強力な魔物もちらほら攻めてきたりするので、それの対応などですかね。おそらく都心は人口も多いので、魔物たちも集まってくるのでしょう」


「なるほど……」


多くの人を守らなければならないので、それだけ多くの敵と戦う必要があるのだろう。


そうこうしているうちに、東京の上空にやってきた。幸い、魔物が襲ってくることはなかったので、ヘリコプターはそのまま黒神グループの一番の親会社である黒神重工の本社ビルまで到達し、その屋上に着陸した。


ヘリポートには何人か社員の人が待っていてくれ、その社員に連れられながら、父さんのいる社長室まで清水さんとともに向かう。半田さんとはヘリでお別れだった。


「社長、ご子息をお連れしました」


社員が社長室のドアをノックすると、「入れ」という懐かしい声が中から聞こえてきた。


その声を聞いて、ドアを開けてもらって中に入る。ドアの奥には、嬉しそうな表情の父さんと母さんがいた。


「父さん! 母さん!」


そう言って駆け寄ろうとしたところで、妙な殺気のようなものを感じ、その場から飛びのく。


飛びのいたその瞬間、俺の視界の端を日本刀が通り過ぎるのを感じた。危なかった。あのまま進んでいたら、首が胴体とおさらばしていたところだった。


「かっかっか! よく避けたな、色人!」


豪快な笑い声にそちらの方を向くと、刀を鞘に戻しながら大きな声で笑っているのは、俺の叔父だった。


「びっくりしたな。何も感動の再会のときにあんな演出する必要ないだろ! さすがに死ぬかと思ったよ!」


そう言って叔父を非難する。このおじさんは警視庁のかなりのお偉いさんで、剣道の達人でもある黒神 鷹人くろかみ たかと。いつも俺を試すようなことばかりする人だったが、今回のはさすがにやりすぎだ。


「なあに、もし気づかなかったりしたら寸前で止めてるよ。固有職に就いたという甥っ子の実力が知りたくてね」


そう言って何も悪びれずに近づいてくる。確かにこの人なら寸止めくらいはできるのかもしれないが……だからといってやるかね、まったく。父さんを見ると、あきれたような顔。母さんはニコニコとこちらを見ている。


やっぱり俺の家はどこかおかしい。それを証明するように、案内してくれた社員は驚いた顔のまま放心状態だった。それを見かねた父さんが「下がっていい」と伝えると、ハッと我に返ってそのまま部屋を出ていった。


今この部屋にいるのは、俺、叔父、母さん、父さん、清水さんの五人だ。


「まあ、何はともあれ、無事でよかったよ」


場の空気を和ませようと、父さんが話しかけてくる。本来なら感動の再会になるはずが、なんとも締まりのない再会になってしまった。


「うん、父さんたちも無事で何より。こっちはこっちでいろいろあったけど、聞いた話だと、そっちも大変そうだね」


「そうだな。こんなバカげた世界になってしまったせいで、やることが増えて困っているよ……」


そう言って少し疲れた様子を見せる父さんだったが、そこから話を続ける前に、母さんが俺に抱きついてきた。


「色人、無事でよかったわ。あなたなら大丈夫ってわかってはいたけど、実際に確認するまでは不安だったのよ」


母さんは俺よりも身長が低いため、目線は俺の方が高いが、いつまでたっても親と子。その包み込むような眼差しは、いつもの母さんだといやが応にも感じさせられる。


「まあ、いろいろ積もる話もあると思うが、いったんは再会を素直に喜ぼう」


そう言って話を締めたのは父さん。そして、すでにソファーに座り込み、せんべいをボリボリ食べている叔父。なんだか気の抜けるような、いつもの光景だった。


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