第15話 罰ゲーム!
「お帰りなさいませ、魔王様」
奴隷商ことラノベ主人公をいい感じに懲らしめてから、何事もなかったかのように魔王城に戻った俺に対して、地獄の三姫臣の三人がお出迎え。
「ああ、ただいまである」
何事もなかったかのように出迎えてくれたのは、繰り返すようだが地獄の三姫臣。
ふむ、見上げた忠義者である。
「さて。それじゃぁ、魔王様?」
クロナが上目遣いで、蠱惑的な表情で問いかける。
「ご飯にしますか? お風呂にしますか? それとも……」
俺はクロナの言いたいことが分かった。
俺は微笑み、頷く。
すると、クロナが嬉しそうに口元を緩め、すぐに恥ずかしそうに頷いた。
それを見ていたアオイとアカリは、
「ほら、いきなって!」
「ガンバ!」
とか囁いていた。
クロナはその声援に押され、覚悟を決めたのだろう。
右腕に付けていたデュエル・バンドにデッキをセット。
俺もスキル【創造】を用いて、左腕にデュエル・バンドを作り、装備。
そして、俺の考えた最強のデッキを同じくデュエル・バンドにセットした!
「「――決闘(デュエル!!)」」
俺たちの声が、同時に響く。
「先攻は頂くぜ、ドロー!」
俺はデッキからカードを一枚ドローし、手札に加えた。
初期手札7枚に、今の一枚を加えた8枚の中から、場に出すカードを選んだ。
「俺はモンチャーカード(モンスターでクリーチャーなカードのこと)、「伝説のゴリラ師・将軍(ジェネラル)ウホイ」を攻撃表示で召喚! カードを二枚セットし……ターンエンド」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【伝説のゴリラ師・将軍ジェネラルウホイ】
攻撃1500 守備80,000,000
フレーバーテキスト
引きこもりニートのため、誰もその姿を見たことがない。
故に、伝説の名を冠する、最強ゴリラだ!
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俺が今セットした二枚のカード。
一枚目はゴリラカードがフィールドにある場合、ゴリラカードを生贄に捧げて相手のライフポイントを1にする魔術カード「ゴリラ爆弾」。
そして二枚目は、モンチャーカードがフィールドから墓地に送られたときに発動し、相手の手札とフィールドのカードを全て墓地に送る魔術カード「ゴリ葬送」だ。
「うふふ、魔王様の【ゴリラ・タクティクス】ですか。そう何度も同じ手は喰らいませんよ」
「それはどうかな?」
「なんですって!?」
俺はクロナがドローする前にゴリラ爆弾とゴリ葬送を発動した。
クロナのライフポイントは残り1で、手札もフィールドにもカードは一枚もない。
それはどうかな? と言いたいがためにドローフェイズ前に【ゴリラ・タクティクス】をお披露目するというプレイミスをしてしまったが。
もうクロナに勝ち目はないし、別にいっかなー(^^♪
「……積み込みうぜー」
「は、は、は、は、は? ……は? 言いがかりはよすのだ」
「はいはい、そうまでして勝ちたいんですかねー、この童貞クソニート君は」
「ちょっとクロナ? 口悪くない? 魔王、もっと尊敬されたいんだけど! 優しくされたいんだけど!」
「私はこんな糞童貞カスニート魔王には負けない。……絶対に、負けるわけには行かないんだ……応えて、私のデッキ!」
俺の言葉を無視したクロナの手が光りはじめた。
しかも逆転っぽいBGMが流れ始めた。
だが……。
「ふん。手札は0枚。その上ライフポイントは1。もう勝ち目はないと、分かっているだろう。はやく、降参をすることだ。これ以上、恥をか
「ドロー!」
ちょっとクロナさんさぁ、魔王のセリフ遮ってドローするの止めてくんない?」
「きた!」
カンコン☆
「ちょっとクロナさんさぁ、魔王ガン無視して カンコン☆ のSE流すの止めてくれる?」
「私は手札より、魔術カード【ご都合的な逆転劇】を発動! 【ご都合的な逆転劇】を発動したプレイヤーは、デッキの上からカードが無くなるまでドローすることが出来る!」
ご都合くそチートカードを発動したクロエ。
「……揃った!」
そして、ご満悦の表情で手札をオープン。
……特殊勝利カードが、そこにはあった。
「【スマンソ神のミギチクビ】【スマンソ神のヒダリチクビ】【スマンソ神のちん○】【スマンソ神のチクビとちん○以外】の四枚のカードが手札にある時、ターンプレイヤーは決闘に勝利する! ……怒りの一撃を喰らいなさい、魔王様」
スマンソ神とか言う小汚い小太りのおっさんが、けつの辺りに黄土色の小汚いオーラを集め、そして……
「破壊神の鉄槌(スマンソ・スンマセン・ヒップシュートフレイム)!」
そう言って小汚いおっさんが俺に「ぷぅ~」と屁をこいてきた。
俺のライフは0になった。
あとなんかめっちゃムカついた。
「……つまんな。何このゲーム。糞ゲーじゃん。魔王が勝てないゲームとか超つまんねぇ、あー、時間損したわー」
「糞はてめえだ、地獄に落ちな、クソったれの魔王」
俺に向かって中指をおったてるクロナ。
まぁまぁ! なんてお下品な子なの!?
「そして敗者には恐ろしい罰ゲームがあるぜ……」
初耳だった。
「はっ、何が罰ゲームだ!」
「罰ゲーム!」
クロナ、俺の言葉、無視。びしりと指をさしてきた。
「決闘に負けた魔王様は、これまで私たちに寂しい思いをさせたから。今日はめ一杯私たち三姫臣を可愛がらなくっちゃいけないんだからねっ!」
三人娘が
「寂しかったですぅー」
「流石は魔王様ね」
「魔王様、スッゲー!」
と言いながら俺に抱き付いてきた。
俺は彼女たちに申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
そうか、やはり俺というカリスマがいなければ、寂しいのだろう。
それは、少し考えればわかることだったのに……
この俺がカリスマだからチクショウ!
「ハハハ、これは一本取られた。うむ、良い。良いのだ。今宵は、余がお主らの寂しさを紛らわせてやろう」
「「「やったー!」」」
三姫臣が喜んだ。
三人娘が喜んでくれるのが、俺も嬉しかった。
「なんやねんこいつら……」
ちなみに今までの流れを黙々と見ていたハナクソは、そんな風に呟いておったが、俺にとってはどうでも良いことだったのだ――。
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