第71話 ランドセルガール
小学校と聞いて真っ先に思い浮かぶものは一体何であろうか?
ある者は溌溂とした笑顔と言うかもしれない、またある者は防犯ブザーと呼ぶかもしれなし無垢な女子小学生と言うかもしれない。
まあもっとも一般的なものとしてはランドセルであろう。背負っているその様子は男子であろうと女子であろうと可愛らしいものだ。
「うふふっこうやってると童心に帰った気持ちになりますね」
だがまあそれはあくまでも未熟過ぎる身体の小学生たちが背負っているから可愛いのであってムチムチとした巨乳の少女が背負っていてもそれは少しも可愛くはない……それはただただ
「エロいね!!!!さっすが彩夢ちゃん!!!」
テラはじゅるりと出てきた涎を拭った。
「そうですか?」
「いやすっごいって……やっぱり巨乳+ランドセルっていいよね。ただランドセルってアイテムが可愛いだけじゃなくって胸が強調させてるし、おまけに彩夢ちゃんは頭の中が小学生みたいだからかそこまでのアンバランスさを感じさせないよ!!!」
「それ褒めてんのか?」
「もちろん!!!ほら見てよあれ」
雅也はテラが指さす方を見た。そこには未来が真っ赤なランドセルを背負いながら何故か俯いているではないか。
「普段から言動に可愛げがほぼほぼない上にメンタルはちゃんと大人……おまけに照れが隠せてないからランドセルが死ぬほど似合ってない!!!!
そういうの疎い雅也君でも見比べてみれば分かるでしょう……この圧倒的な差を!!!」
「うーん」
(ああ………彩夢とテラの口車に乗せられてランドセルなんて背負うんじゃなかった………確かに私とマー君は幼馴染だし私がランドセル背負ってるところをいくらでも見てるよ……でもよくよく考えてみたらマー君って別にランドセル背負ったくらいじゃ何とも思わないんだよね。懐かしさで心に隙が出来るとか思い出補正で可愛く見えるとかありえなかった……)
「そっかな。未来ちゃんの方が似合ってると思うけど」
「よっしゃ!!!!!!」
つい先ほどまで何を考えていたかなんて忘れて未来は力強くガッツポーズした。
「どーよ!!!ねえ、マー君どんな所が良かった?やっぱりピンク色のランドセルを選んだところ!!??それともクリッと浮き出た胸?」
「どこかって言われたら難しいけど……なんか知らないけど顔かな?しっくりくるというか何というか……」
「ああ、雅也さんと未来さんって幼馴染ですもんね。やっぱりランドセルの姿は懐かしいですか?」
「まあね……ただ僕の時代には赤か黒しかなかったから目新しいかな」
未来ランドセルをじろっと眺めた。
「最近はこう言うのが流行ってるんだね………僕は緑が欲しいって言ったのに父さんが『それは女の子のものだ』とかなんとか言って買ってくれなかったんだよね。はぁ」
「へぇ。雅也さんのお父様にしては随分こじんまりとした常識を持っていたんですね。意外です」
「ふふん、彩夢ったら知らなかったのね……マー君と長い間一緒にいたくせに不甲斐ないと思わない?」
「まあ正直に言えば少し……恥ずかしいと思います」
でも、と楽しそうに言った後ランドセルにとてもマッチした優しく純粋な笑みを浮かべた。
「これから知っていけばいいんですよ!!!楽しみで楽しみで仕方ないって思ってます!!!」
そして流麗な動きで雅也の手を取り顔を近づけた。
「そこで雅也さん一つお聞かせ願いますか?」
あどけなさが多分に残るコスプレ大好き美少女のランドセル姿は本当によく似合っていた。そんな彩夢の上目遣いを見た瞬間雅也の脳内で何かが囁く。
(これか!!??これが可愛いって言う感情なのか?………それにしては………少しも下半身に響いてこないけど……いや、そうに違いない!!!)
今の彩夢は本当に可愛い。男だろうが女だろうが100人に聞けば99人が可愛いと言うことは間違いないだろう。
「何を聞きたいんだ?」
(これは可愛いこれは可愛いこれは可愛いこれは可愛い……そう、これが可愛いなんだよ。これが僕が彩夢に恋するための第一歩なんだ!!!)
「もちろん雅也さんのお父様とお母様のことです」
「OK……といっても彩夢の期待に応えられるかどうかは分かんないよ」
(さてと………何を披露しよっかな)
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