第78話 その頃男子チームは1

お知らせ

 77話が短かったので2話更新です。

本日は前話があります。


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Side:ノブちん


 途中野営や狩りなどをしながら街道を進むと砦に出くわした。

どうやら隣の国へと入るための関所のようだ。


「こちら側の砦はこの国の出国用だよな。

となると向こう側に見えている砦が隣の国の入国用か」


「どうする? 貴坊の予知では向こうの国が正解なんだよな?」


「う、うん」


「見ろよ、出るだけならば、あまり調べられていないぞ」


「むしろ入って来る時のチェックが厳しいみたいだね」


「ここで戻ったら逆に怪しまれる。行こう」


 俺たちは長い列に並んだ。


 ◇


「はい、次」


「6人だ」


「出国で良いんだな?」


「ああ」


 衛兵が俺たちの格好をチラリと見た。

黒の学ランにゴブリン装備となると、相手からはどう見えているのだろうか?


「ギルドカードは?」


 どうやら冒険者だと見られたようだ。


「いや、まだだ。向こうで作るつもりだ」


「そうか。次にこっちに戻る時は税が発生する。気を付けろよ」


 そう言うと衛兵は俺たちを通してくれた。

まあ、砦と砦の間の緩衝地帯に侵入しただけだがな。

本番は、次の入国審査だ。どうなることやら。

俺たちは自動的に次の列に並んだ。


 ◇


「はい、次の方」


「6人だ」


 衛兵が俺たちのことをチラリと見る。


「冒険者ギルドカードはお持ちですか?」


 どうやらやはり冒険者だと思われたらしい。


「いや、この国のギルドで登録しようと思って」


「そうですか、では入国税が銀貨7枚必要です」


「え?」


 まさか、お金が必要だなんて……。

俺たちは召喚されて森から出て来たところだから当然無一文だ。


「お金は持っていない」


「ならば入国できません。引き返してください」


 いや待て、向こうの国も戻って来たら税金がいるって言ってたぞ。

つまり、俺たちはこの緩衝地帯から出られなくなったということだ。

さて、困ったぞ。

何か良い手は……そうだ!


「俺たちは召喚された勇者だ。

なぜか森に出てしまって困っている。

貴国に保護を求めたい」


「!」


 衛兵が驚愕の顔をする。


「ピーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」


 そしていきなりホイッスルを鳴らした。

すると砦のあちこちから、わらわらと武器を持った兵士が雪崩出て来た。

そして俺たちを囲むと、俺たちに向けて槍を突き出す。


「大人しくしろ! 抵抗しなければ殺さない!」


「な、なんで?」


 勇者と言っただけなのに、俺たちはまるで犯罪者扱いを受けていた。

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