2021年3月30日(火)『世界一有名なタヌキだよ、君は』

 世間ではモンハンなるゲームが流行っているらしい。


 正式名称はモンスターハンター。その名の如く、モンスターを狩るゲームらしい。ポケモンと何が違うのかなと思ったが、よく調べたら原始時代の狩りみたいに生身の人間とモンスターがどつきあいをするようだ。今流行っているのはモンスターハンターシリーズ最新作のライズというものらしい。ライズというのは「高く持ち上げる」という意味なので、今度のハンターはモンスターをぶん投げるだろう。


 どうしてこんな話を日記に残すのかというと、社内でも流行っているからだ。昼休みや定時後、男性社員たちがテレビ会議で集まってモンハンをやっている。ミーティングが始まる前の雑談もモンハンの話題が多い。


 ここまで男性社員が嵌るモンハンというゲームに私は興味を持った。


 ここで一度、今日時点の私のゲーム遍歴を残しておこうと思う。


 遍歴と言いつつ、私がやったゲームは一つだけだが。


 弟のゲーム機を強奪して「どうぶつの森」というものをやってみた。移り住んだ村でほのぼの生活をするゲームという触れ込みだったのだが、悪徳商人のタヌキに入村五分で借金を背負わされた。夢見て上京した大学生が詐欺に遭うという闇のストーリーを百倍希釈したらこうなるよねってゲームだった。


 若かった私は、そこで何を勘違いしたのか「これはいかに早く借金を返済するのかを競うゲームなんだ」と思ってしまった。そこからは果樹園を作ったり、金になる虫や魚を捕まえたり、カブというギャンブルにも手を出した。


 借金を返済し、再び借金を背負わされる生活に慣れた頃、ついに借金を背負わされることはなくなった。


 そして、残ったのは雑草に覆われ、虫の出現ポイントを狭めるためにほぼ全ての木が伐採された村だった。


 コマーシャルで見たようなほんわかした村はなく、村人との心温まる交流もない。私に残ったのは借金を全て返済したという実績だけだった。


 それに気づいた時、私はどうぶつの森を辞めた。


 セーブもせずにリセットしたため、リセットさんなる説教オヤジが次回起動時に出現するらしい。けれどその後、弟に返したため、私はその姿を一度も拝んだことがない。もしかすると弟が理不尽な説教を受けたのかもしれない。


 そんなゲームを楽しむことに向いていない私だがモンハンに手を出しみようと思う。


 借金返済に奔走するようなゲームではなさそうなので、今度こそゲームの本筋を楽しみたい。

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