第7話
俺は新聞記者だ。
常に特ダネに飢えている。
正直、ブラック企業よりも不規則でフリーランスに近いかもしれない。
でも、俺には強みがある。
数年前から、とある弁護士と接触できたのだ。
その弁護士は、反裏社会にも通じていてら正しく、黒を絶対的に白にする事の出来る敏腕ぶりだ。
そんなやつに限って、表面は穏やか過ぎる。
これが、本当のサイコパスなんだと思う。
そんな弁護士から、依頼していた政治家の横領の件について『報告したい事があるから事務所に来い』、と連絡が来た。
事務所へ行くと、弁護士が待っていた。
「実は、今回の案件から手を引いてほしい。むしろあの政治家の件は、“何も知らなかった”と、いう事にしてほしい。」
……は?
「いやいや。先生、冗談キツイですよ。今まで一緒にやってきたじゃないですか?!」
「忠告、一回目。“仏の顔も三度まで”と、いう言葉があるのを知ってますか?」
「そんな!皆感づいていて、『我こそは先に!』と、どの新聞社も今すぐにでも書き出したい特ダネなんです!」
「忠告、二回目。」
バラッ……
……?!
「君には、ご家族がいたね。優しそうな奥さんと可愛らしい娘さん。」
家族がいる事なんて、先生に話した事は一度もなかった。
なのに、先生が机の上に出したのは、紛れもない俺の妻と娘の大量の写真だった。
「……どうして。」
「忠告、三回目。煙のないところには火が立たないんだよ。」
ガチャ……
事務所の扉が開いた。
恐る恐る扉の方を見ると、スーツ姿の男性が四人入ってきた。
ヤクザ映画とかで観る様なチンピラみたいな感じではなくて、良いスーツ姿だった。
「君とは確かに付き合いが長い。
しかしね、君以上に付き合いが長いお得意さんがいたんだよ。
わかってくれるかな?
安心したまえ。“優しい約束”、だからな。」
★☆★Fin☆★☆
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