第30話

 桜井実紀のもとに、一通のメールが届いた。




なんでも法律事務所より



実紀は、ふかふかのソファに腰掛け、カモミールティーの入ったカップをテーブルに置いた。


実紀がメールを開けると、こう書かれていた。


「桜井実紀様


ご依頼の件、調べさせていただきました。


あなたが思っていたように、旦那様は、浮気をしていました。


相手は、倉敷 波。


その女をどうするかは、あなた様次第です。


私どもは、代金を頂けるのであれば、どんな始末もいたします」


と書かれていた。


実紀は、ふふっと不敵な笑みを浮かべ、すぐさま、何でも法律事務所に電話をかけた。


「お願いがあるんだけど」






 一週間後、倉敷 波なみは、殺された。


何者かによって。


ニュースでは、犯人はまだ捕まっていないとのことだった。


自宅で銃で撃たれて死んでいた。


自宅には、小さな女の子もいたと言う。しかし、その子には、何も外傷はなかった。


世間では、小さな女の子は助かって良かったと安堵された。


小さな女の子は、母親を失って不幸になってしまったと言う事実に目を向けた人々はどのくらいいたのだろうか。本当に助かって良かったのだろうか。

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