なぜか俺だけモテない異世界転生記。

第163話、増える悩み、心配になる頭皮。

「忘れるわけないだろうが...。

ルシフェルゥゥ！！」

突然現れたルシフェルに俺は戦闘体勢を取った。

「おやおや、久しぶりに出会って興奮した様子ですね。フフフ。手合わせでもしますか？」

ルシフェルも構える。

「よさんか！二人とも！少し落ち着け！」

一瞬、緊迫な時間が流れたがデュークによってすぐにかき消された。

「師匠...。」

「コウ、ごめんな。突然現れた事に動揺していると思うが、ルシフェル（コイツ）は今俺と契約しているんだ。」

「何でこんなやつと...！？」

「驚くのも無理はない。話すと長くなるんだが...。」

「師匠、すいません。

聞きたいのは山々なんですが、今急いでるんです。一刻も早くアイツを追わないと...。」

「アイツ？それはさっき戦ってたソーマの事か？」

「はい...。ソーマはゼウスという者に乗っ取られていて早く救出しないと、ソーマが...。」

「...そうか。それでソーマの行き先は分かるのか？」

「行き先？分かりません...。」

俺がそう言うとデュークは、

「だそうだ。ルシフェル、アイツが何処に行くのか検討はつくか？」

「フフフ。教えてもいいけど。

君の僕に対する殺気どうにかならない？

気になって仕方ないんだよね。」

不気味な笑みで俺に言ってくる。

信用して良いものか？と俺の中で葛藤は続くが、ヴォイスが話だけでも聞きましょうとなだめて来たので高鳴る殺気を落ち着かせた。

「悪い...。教えてくれないか？」

「フフフ。殊勝な心がけだね。

その心がけに免じて教えるよ。

彼、ゼウスはきっと魔人国アリュートに向かうと思うよ。」

（え！？そこって...。）

ヴォイスが何やら動揺しながら人化をし険しい顔でルシフェルに言葉を投げ掛ける。

「ルシフェル！それは本当ですか！？

嘘だったら承知しないですよ！！」

「ん？あなたはたしか...裏切り者のヴォイスさんでしたっけ？

フフフ。今となっては私も貴女と同じ裏切り者ですが。あれ？ここは笑うところですよ。」

「はぐらかさないで！！貴女の言っていることは本当なの！？」

すごい剣幕でヴォイスがルシフェルに言い寄る。

こんなに焦っているヴォイスを見るのは初めてだ。

「いやはや、女というものはこれだから...。

本当ですよ。魔人国アリュートは魔力に優れている人材に溢れている国ですからね。

私たちみたいなのが寄生するにはもってこいの国ですよ。

まあ、私はデュークと血の契約をしていますから関係ないですが。」

「そ、そんな...。そこには...。」

ヴォイスは涙目で俺を見る。

「そこには、マスターの思い人のミア様がいらっしゃるのです！！」

は！？

その言葉を聞いた瞬間俺の思考が止まり、

膝から崩れ落ち意識が途切れた。

目が覚めるとアバドンの俺の家のベッドの

上にいた。

身体を起こすとアスタとリスクが俺の膝元で寝ていた。看病をしてくれていたのだろう。

俺は２人の頭をそっと撫でる。

「もうお腹に入らないよ～！むにゅむにゅ...。」

「モフモフは正義なの...。むにゅむにゅ...。」

２人ともいい夢を見ているようで安心した。

「アニキ。大丈夫か？」

「ラウル...。起きてたんだな。」

「いきなり倒れるからビックリしたよ。

アニキのししょーがここまで運んでくれたんだぜ。

過度なストレスが倒れた原因らしいよ。」

「そっか...。心配かけた。」

「おいらよりもこの子達とヴォイスの姉御に言ってくれよ。」

「あぁ...。」

「おいら、下に行って ヴォイスの姉御に報告してくるよ。」

「いや、それには及ばない...ってもう行っちゃったか...。」

念話で報告すれば早いからと言おうとしたが、ラウルは音速のスピードで下に降りていった。

まぁ、いいか...。

それよりも今考えることは、魔人国アリュートの事だな...。

こればっかりは場所もわからないけど、ミアのよりしろでもあるヴォイスに聞けば分かるだろう。

俺は思考を働かせて考える。

今思い付く疑問は、

はたしてミアは無事なのか？

たどり着くまでどれくらい掛かるのか？

敵の戦力はどのくらいあるのか？

ソーマは元に戻せるのか？

そしてここが一番大事な事だが、ルシフェルは信用できるのか？

この辺だろう...。

デューク（師匠）は血の契約をしているから大丈夫だと思っているみたいだが俺はそうは思わない。

でもルシフェル（アイツ）からは嫌な気配が無くなっていたのは事実だが...。

本当、考えると頭が痛くなる。

考えすぎて禿げるんじゃね？と頭を抱えるコウだった。