第三戦直前

 専用ロビーには少しずつ第三戦に出場するプレイヤーたちが集まり始めた。そこにサクラらしき姿もあったがミハルは声をかけようとはしなかった。どこか臆していた部分もあるが、戦いを通じて答えをはっきりさせたいというのが本心だった。


「やぁやぁ、ミハルちゃんはやいねぇ~」

「フヨウ来てたのね」

「ほかの人を観察していたのさ。と言っても猛者ぞろいで正直荷が重いね。それより気づいたことがあったんだよ」

「気づいたこと?」

「そうそう。よく見てよ。あそこにいるプレイヤーって第二戦てリタイアになった人だよ」


 そのあとフヨウは三人ほどリタイアしたはずのプレイヤーを指さした。第一戦と第二戦のデータを参照してみると確かにリタイアしたはずのぷれいやーであることがわかる。


「――ミハル」


 その時、ミハルに声をかけたのは予想もしていなかった人物だった。


「えっ、レイラン!? どうしてここに?」

「そっか、勝ち抜いたプレイヤーには知らされてないんだね。このまえリタイアしたプレイヤー60人の敗者復活戦があったんだよ」

「もしかしてそこで」

「うん。勝ち抜いてきた。と言っても最初から10人勝ち上がれることになってたみたい」


 レイランは敗者復活戦のことを軽くミハルへと話した。


「レナか……。強かったの?」

「私は直接戦ってないけどロイドと引き分けになってたみたいだからかなり実力はあると思う。でも、ミハルと比べたら詰めが甘いかもね」


 そうこうしているとハルミ、ヨハネ、ロイド、クロノ、クルセイダーと言った見慣れたプレイヤーも専用ロビーへとやってきた。ポータル付近で待機していたミハルだったがいつのまにかノアがやってきており少しずつ高まる緊張感。今話している相手が敵になるかもしれない。そんな不安が入り乱れる中、今回のバトルの指揮を取る女性がやってくるとモニターに映像が映し出される。

 それは敗者復活戦の映像だった。


「全員揃いましたね。すでにお気づきの方もいると思いますがリタイアしたプレイヤーも第三戦に参加することになっています。先日行われた敗者復活戦にて残った最後の10人。ジョーカー、レイラン、ウォーカー、ウィーク、ナント、クルセイダー、レベッカ、ゼンガーの10人です。しかし、復活したとはいえもとは戦いに負けてしまったため、ここで本戦を勝ち抜いた方のために敗者復活戦のダイジェストを見ていただきます。これを情報アドバンテージとして戦略を立ててください」


 敗者復活戦を勝ち抜いた10人は全員エースストライクを発動しておりその条件もわかっている。エースストライクは変更することもできるがいつ負けるかわからない戦いで使い慣れてない技を本番で使うことは考えにくい。そのため、ここで公開される情報は第二戦を勝ち抜いたプレイヤーにとって大きなアドバンテージになる。

 

 映像が終わり女性は言った。


「では、これより。第三戦ストーリーバトルのルールをお伝えします」


 ついに第三戦の全貌が明らかになる。

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