ヴーヴーヴー……


学はショルダーバッグからスマホを取り出し、ディスプレイ表示を見た後、バッグへ戻した。警察からの留守録を確認した後、何度も掛かってきている番号だ。

行方をくらませていた学は、母、中井聡子の墓に来ていた。花立てに菊の花束を挿し、両手を合わせて黙祷する。


(母さんが言った通り、やっぱり美園は最低な奴だったよ。俺が前に話したトリックを、そのままオヤジを殺すのに使いやがった。まあ、レジャーシートとバケツ、凶器に使えそうな岩を置いて、オヤジを殺すか試した俺も誉められた奴じゃ無いけどね。母さんとの約束通り、オヤジの遺骨は別の墓に納骨するから)


学はショルダーバッグからハンドタオルを取り出し、涙を拭いながら聡子の墓を後にした。

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