第42話 交際、始めました
沙希と付き合い始めて、しばらく経った。
相変わらず、俺の彼女は最高に可愛い。
「おはようございます、怜太さんっ!」
「おはよう、沙希」
今までとほとんど変わらないのだが、少し変わったことと言えば、こうして朝一緒に登校するようになったことだろう。
「ちょっと寒くなってきたね」
「そうですね! もうセーターが必要ですねぇ」
「そうだね」
そう言いながら、手を繋ぐ。
最近は許可を取らなくても自然と手を繋ぐようになっていた。
「でも、あったかいです」
「それは……手を繋いでるから?」
「そうです! 怜太さんの手は、あったかいんです!」
「沙希の手も、あったかいよ」
「ふふっ、また一緒ですね」
「そうだね」
俺と沙希の間には、以前にも増して甘ったるい雰囲気が流れている。
頭がバカになってしまいそうだ。
「……怜太さん」
「ん?」
「……きょ、今日もぎゅって、してくれますか?」
上目づかいでこの破壊力。
……可愛いしか言えない。
「も、もちろん」
「えへへ、楽しみにしてますね?」
「うん」
最近の沙希は、本当に甘えん坊さんだ。
……こんなの、さらに好きになるに決まってる。
▽
夕食後のまったりタイム。
付き合う前は俺が膝枕をしてもらっていたのだが……。
「えへへ、怜太さんだぁ」
気が緩み切っているのか、沙希が俺に密着してくるようになった。
酔っぱらってるのかと、疑うほどだ。
「沙希ってやっぱり、甘えん坊だよね」
「前まではそうじゃなかったんですけど……怜太さんのせいですね」
「ご、ごめん?」
「いいんです。だって、怜太さんに好きなだけ甘えられますから」
「……可愛いなぁ全く」
「ふふっ、大好きです、怜太さん♡」
さりげなく言ってくるものだから、あやうく失神するところだった。
沙希が少し離れて、手を広げた。
「怜太さん、ぎゅってして?」
……反則だろ。
「甘えん坊さんだな、ほんとに」
「えへへ~」
沙希を抱きしめる。
あの日以来、ハグがすっかりお気に入りらしい。
ちなみに、俺も気に入っている。
「すごい幸せです……」
「俺もだよ」
「……ほんと、このままだと怜太さんなしじゃ生きれない体になっちゃいそう……」
「それは困る……けど、まぁずっと一緒にいるから、大丈夫だよ」
「っ‼ れ、怜太さん……好きです」
「な、何回言うんだよ……」
一日に何回言われたことか。
普段はこんなことないのに、まったりタイムになるとこれだ。
幸せが、飽和している。
「れ、怜太さんは?」
「…………好きだよ」
「ふふっ、嬉しいです」
満足したように笑う沙希。
付き合ってからというもの、こんな毎日だ。
「あっ、そろそろお風呂入らないと」
「もうそんな時間ですか。じゃあ、また明日、ですね」
「そうだね。……ほんとは、もっと一緒にいたいけど」
「れ、怜太さん……!」
「まぁしょうがないね。じゃあ、お風呂入ってくるよ」
そう言うと、沙希が俯いて、もじもじしながら言った。
「……い、一緒に入りますか?」
その言葉に、顔が真っ赤になる。
それは沙希も同じだった。
「そ、それは少し早いんじゃないかな⁈」
「そ、そうですよね! わ、私ったらはしたない……」
「……でも、ありがとう。……いつか、一緒に入ろうね」
「っ……‼ は、はいっ!」
俺たちのペースで、やっていこう。
……時間はたっぷり、ありそうだからな。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
完結の第三部。
甘々な二人の日々に、あと少しだけお付き合いください(o^―^o)ニコ
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