第24話

「新しい法律?」


 ウィリアムはそう聞き返してきた。


「ええ、でも、この法律が通ると、貴族達にはちょっと宜しくない内容なんですけど」

「そうですか、その内容とは?」


 私は、貴族達が多く取り分を取っていると説明して、その割合を一律にしたいと話した。


「成る程……良いですね、私は賛成です」

「え、本当ですか?

てっきり反対されると思ってました」


 驚いた。この法案が通ってしまったら、ウィリアムだって多少損をするのに。


「私も思うんです。余りにも貴族の立場が強すぎる。私だって生まれる家が違えば、こんな生活はしていなかったでしょうし」


「それに、私の知り合いにも、この法律に賛成してくれそうな方々にお話しておきます」


 それは凄くありがたい話だ。


「あの、あまりにも話が出来すぎてませんか?」


 そこで、ずっと黙っていたアンドリューが口を開いた。


「どうしたの、アンドリュー」

「君は、確かレイラお嬢様の恩人だったか……名前を聞いていなかったね」


「名前はアンドリューって言います。

その、ウィリアム男爵は何か隠していたりとかしてませんよね?」


 そうアンドリューはウィリアムを睨みながら聞く。


「アンドリュー、失礼でしょ!」


 私はアンドリューに注意するも、ウィリアムがいいですよと優しく微笑む。


「確かに、怪しいと思われても仕方がないかもしれませんね。

ではこう言ったら信用して貰えますか」



「私は、レイラお嬢様の事を愛しています」



「え?」

「なっ!?」


 ウィリアムの突然の告白に、レイラもアンドリューも固まった。



「え?それは、何故?」


 レイラは人生で初めて受ける告白に顔を赤くする。

 まさかウィリアムから告白されるなんて、夢にも思っていなかった。


「そうですね、前々から気になっていたのは本当ですが、好きになったのは、あのパーティーの演説ですかね。

あんなにも自分の意見を堂々と言う姿に心を打たれました」


「え?あの演説で!?」


 レイラは困惑する。まさかあの黒歴史確定の演説で惚れられてしまうとは。

 嬉しい様な悲しい様な。


「えっと、あの、私……」

「ああ、告白の返事はいつでも構いません。ただ、考えてくれたら嬉しいです」


 言い淀む私を察したのか、ウィリアムはそう笑顔で言った。


 私が横をチラリと見ると、アンドリューが少し暗い顔をしていた。


「では、法律の件は私の方でも動きますので、レイラお嬢様も頑張って下さい。

またいつでも遊びに来てくださいね」


「あ、ありがとうございます!

宜しくお願いします」


 そうしてレイラとアンドリューは街へと歩き出した。


 しかし、アンドリューの顔がまだ暗い。


「……アンドリュー?

何かあった?」


 私はそうアンドリューに尋ねた。

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