エピソード24 不用心
フォスティーヌの計画はこうだった。明日、フォスティーヌは11時に王子様と一緒に海に遊びに行く。フォスティーヌはビーチサンダルを脱いで波打ち際を歩く。
そこへド派手なビキニ姿の私が現れて、フォスティーヌへいちゃもんを付けてサンダルを奪う。そしてフォスティーヌを王子様に誘導させてお姫様抱っこをして貰うと言う計画だった。
「・・・そんなにうまくいくかなぁ・・?」
「うん、大丈夫よ。帰りに私の部屋へ寄って行ってね。水着を渡すから。」
フォスティーヌの言葉にうなずいたけれども・・私は一抹の不安を感じながら彼女の計画に乗ることにした―。
****
ベッドの上に置かれた紙袋を見ながら私は腕組みをして呟いた。
「さて・・・どんな水着かな・・?」
ランチの後、私はフォスティーヌから紙袋に入った水着を手渡されたのだ。
「どうかあまり派手な水着じゃありませんように・・・。」
言いながら私は紙袋の中身を取り出し・・・。
「いやあっ!こ、これを着ろっていうの・・?」
赤面しながらベッドの上に置かれた水着をじっと見つめるのだった―。
****
午後はずっと部屋にこもって私は勉強をしていた。私の将来の夢はプログラマーになる事。そうすれば家でも外でも働き方を選べるし、独立することも夢じゃない。
大学は工学部のある学校に行きたいので、その勉強も欠かせない。
スマホの学習動画サイトを見ていた時の事・・・。
ピンポーン
突然部屋のインターホンが鳴らされた。
「はーい。」
動画を止めて、私はドアを開くとそこにはアレクが難しい顔で立っていた。
「え・・?アレク・・何でそんな怖い顔して立っているの?」
するとアレクは溜息をつくと言った。
「リア・・お前なぁ・・。」
「な、何?」
「不用意にドアを開けるなよ・・・今みたいに。」
「え・・?」
自分から訪ねてきておいて、一体アレクは何を言い出すのだろう?
「俺だったから、まだいいものの・・・いいか?ここに来ている男どもは皆恋人や・・・結婚相手を見つける為にやってきた連中ばかりなんだ。だから簡単に部屋を開けて男を招き入れるな。・・・・何かされたらどうするんだ。今度からドアを開ける時はドアイアで確認してから・・もし男だったら念の為に防犯としてドアガードを掛けてから応対するんだ。」
アレクは腕組みしながら、あれやこれやと指示してくる。
「あ・・・そっか・・心配してくれていたんだね?ありがとう、アレク。それじゃあ今度からアレクが言ったとおりにするよ。」
素直に返事をするとアレクは満足そうにうなずき・・言った。
「ところでリア・・・お前は今何をしてたんだ?」
「うん、ちょっと勉強をしてたんだよね。」
「へぇ~・・・ここまで来て・・まじめだな。」
「まあね・・・・ほら、私は皆とは違い、ほぼ庶民だからね・・・。勉強を頑張ってお金を稼げる仕事に就きたいんだよね。」
「へえ、立派な考えじゃないか。そっか・・・でも勉強中なら・・無理だな。」
「え?何が無理なの?」
「ん?ああ・・・いや、何でも無い。忘れてくれ。ところでリア、明日はどうするんだ?もし暇なら俺と海に・・。」
「ああ~・・・ごめんねぇ・・明日は・・・駄目なんだ実は友達に頼まれて悪役令嬢を演じないといけなくて・・海でね・・。明日友達が王子様とデートする日なんだってさ。」
溜息をつきながら言う。
「・・・そんなに嫌なら断ればいいだろう?」
「出来るはずないでしょう?・・・旅費だって・・・出してもらってるわけだし・・。」
「・・・分かったよ、勝手にしろ。」
途端にアレクは不機嫌な顔つきになり、フイとそっぽを向くと、自分の部屋へと入ってしまった。
「そんなに怒らなくても・・。」
部屋のドアを閉じた私は何だか勉強する気が失せてしまった。
「よっ。」
スプリングのきいたベッドに寝っ転がり、波の音を聞いている内に・・・私はいつの間にか眠ってしまった―。
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