拳
それはまるで
張り詰めた脊椎の中に
暖かいお茶を直接流し込んで
固く握った拳の指を
1本ずつ剥がされた直後に
途方もなく大きなうねりに飲まれて
すべての細胞が書き換えられて
ただ呆然と
ひとり、なのに
決して孤独ではなくて
そんな体験を
手垢の着いた慣用句で表すことも
ましてや
好きという2文字に収めることも
誰かに話すことすら
非常に暴力的な気がして
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