堕天使 其の三

天使が天使をいきなり殴り始めました。

私は、幼く、はじめは、何が起こっているのか、よく理解出来ませんでした。

なぜなら、私たちは、何も悪いことなどしていないのです。

天使が天使を殴ったり、蹴ったりする様を私は見ていましたが、怖くて止めに入ることも、助けを呼ぶことも、叫ぶ事も出来ませんでした。

そして、それを誰かに告げる事も。

そして、それは、一度ならず、何度もくりかえされたのです。

その度に私は畏れ、何も出来なかったのです。そして、何も出来ないでいる、私を、私は心で責め立てました。

そして、そうした日々も、いつかは終わりを迎え、私は安堵しました。


そして、記憶の中の奥底に消えてしまったのです。



私の心に致命的な傷を付けて。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る