仮称:衝動と遭難

青海 月子

第1話

無人島にもっていくとしたら

本は絶対もっていきたい

ひとつのセンテンスを目で追って

『、』と『。』を

一文字一文字を目でなぞって

一画一画を指でなぞって

それはいつか言語を遠ざかり


意味をなさない本は手放しがたく

雨風を避けて放置され

紙の縁は日に焼けて

書籍という名の化石となる

幾年――



きっと私の亡骸の横には

誰も読解できなくなった本が一冊

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