「ゴブリン」
「ゴブリン」
彼らは道端の林に潜んでは旅人に糞を投げ、意味もなく家畜の尻を叩いて柵の外へと追いやり、時に棒切れと見紛うみすぼらしい戦利品を振りかざして人間を襲う。
この本を閉じ、少し席を立って窓の外を眺めてみるといい。
似たようなやつが外をうろちょろ走り回っているだろう?
そう、彼らと我々に外見以外の大きな違いはない。人が誕生して以来、我々の脅威が我々自身であったように、あの忌々しい小人どももまた、常に人間を脅かす存在だった。
彼らと我々の異なる点を挙げるとするならば、我々は互いに手を取り合うことができるが、彼らはそうもいかないことだ。小汚い暇人どもの娯楽といえば、人の顔に糞を投げつけるか、生きた獲物に刃を突き立てることくらいなのである。
今日に至るまで、道端に転がった大きめの石ころ程度しかない、あの禿頭の大きさを上回る知恵を持ったゴブリンを見つけたという報告はない。おそらくそれが覆ることはないだろうし、仮に頭部が肥大した個体を見かけたとしても、まず感染症などを疑うべきだろう。
以前、ある学者が彼らに球蹴りの遊びを教える実験を行った。しかし彼らが蹴り転がしたのが皮のボールではなく学者の頭だったことから分かるように、今後も彼らと人が手を取り合う機会はないとみていいだろう。
彼らを殺すのは簡単だ。我々が同胞にするのと同じように、剣で突き、斧を振り下ろせばいい。
――ジェイミー・ブラッドフォード著『ゴブリン、あるいは醜い小人達』
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