ラジオは聖女の囁きから
童話の朗読は、毎週一話放送、今日が三話目、四月も終わりです。
ラジオ局から、やんやといわれるていますが、童話の朗読の約束は三話です。
『眠れる森のお姫さま』の後は、『ブレーメンの音楽隊』、矢崎源九郎訳です。
最後が、『白雪姫』、菊池寛訳です。
ラジオ放送は大好評で、株式とかニュースとか放送していますが、お料理番組とかもあるのですよ。
結構色々番組を放送していますが、何といっても『聖女殿下のお話』が大好評となっています。
これに気をよくしたのが『帝国電波機器』という半官半民の会社。
今のところ、ラジオ受信機を作っている唯一の会社です。
ラジオ受信機、鉱石ラジオの販促品として、『聖女殿下のお話』を小冊子にして、ラジオの購入者に配ったのですよ。
かなり廉価に設定している上に、ラジオ受信機を購入すると、いま話題の『聖女殿下のお話』の小冊子が付いている。
かなり売れているのです。
当然、ラジオ放送の契約も増えていく……
ここで『聖女殿下のお話』が終わるのは経営上、得策ではない、ということで、お母様に泣きついた……
というのが、いまの状況なのです。
「ねえ、なんとか『聖女殿下のお話』を続けてくれない?ラジオ局がうるさくてね、困っているのよ」
「でも、約束ではお話は三話となっていますし、ラジオ放送も順調のようですし……」
「聖女様のお声が聞ける、といって、購入する人が多いの、知っている?ラジオに拝んでいる人もいるのよ、それでもやめるの?」
「……それは……」
「あと、三クール、お願い、この私の為に、お願い出来ない?」
お母様に、ここまで云われると、断ることは出来ません。
「では、後九話、これで最後にしてくださいね……いちおう学業もありますので……」
「助かるわ!ありがとう!そういえば皇太子も聞いていたそうよ」
「えっ、殿下が♪」
「取り巻きが褒めていたそうで、嬉しかったといっていたわよ」
「そうですか♪殿下が♪」
どうも、この頃の雪乃さん、殿下の話しを持ち出すと……チョロいのですね。
百戦錬磨の皇后様、見切っているようですね。
……雪乃、こういうところは可愛いわね、乙女というのですね……息子の嫁としては、これ以上の娘さんはいないわね……
私の娘でも有るし……ほんと、娘っていいわ♪
『赤ずきんちゃん』、『かえるの王さま』、『星の銀貨』
『シンデレラ』、『狼と七匹の子山羊』、『おやゆびこぞう』
『ヘンゼルとグレーテル』、『がたがたの竹馬こぞう』、『ラプンツェル』
雪乃さん、気をよくしたようで、一気に録音、そしてラジオ局に引き渡しました。
さらにこの後、皇太子殿下の口利きで、雪乃さんは童話の朗読を続けさせられたのですね。
グリムの次は、日本の昔話、 楠山正雄さんのシリーズから十二話、アンデルセンから十二話……
ほぼ半年、続いた様ですね。
後日、毎週、毎週、『聖女殿下のお話』が放送され、終わる頃には、ラジオ放送は帝国国民に根付いたようです。
そう、ラジオ放送は『聖女の囁きの賜物』で生まれ育ったのです。
お話ですが、結局、全て製本出版されたのです。
『聖女殿下のお話』シリーズ、全3巻、挿絵はいろいろな方が書いてくださりました。
ものすごく売れましたが、全て必要経費を除いた利益は寄付しました。
これは青鞜会にではないのですよ、帝国赤十字にです。
だってね、青鞜会だと、男の子は対象外になってしまうでしょう?
さらにね、ラジオ局がSP盤を勝手に作って、『聖女青鞜局』に呼びつけられていました。
結局、販売されて、この売り上げも、帝国赤十字に寄付されたのです。
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